アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

女性に女性トイレ使用制限は違憲

 1週間前の7月11日、最高裁は「女性」に女性用トイレの使用を制限するのは、違法だと認め、問題を起こしていた経済産業省に対し、是正を命じた。50才台の「女性」は戸籍上は男性となっているが、性同一性障害により2008年頃から、女性として私生活上も暮らしており、職場においても、2010年、全職員に対して説明会が開かれ、この職員をこれから女性として受け入れるよう上司から話があったという。(医師が正式に性同一性障害と診断したのは1999年のこと、その後、女性ホルモンの投与を続け、徐々に「女性」になった)

 

 性転換の場合は、正式には性別適合手術を受けるものだが、この職員は、健康上の理由から当該手術を受けられないとのことで、性別適合手術は受けていない。但し、外見上はどう見ても女性であり、男性トイレに入るのは違和感があり、大きな精神的苦痛を伴う。職場で、女性トイレの使用を認めてもらおうと交渉するも、同じ階と一つ上下の階は、同じ職場の女性職員が嫌がるとの理由で、二つ以上離れた階の女性トイレに限り使用を許可するとなった。

 

 何年経っても二階以上離れた階の女性トイレしか利用できないので、職場の上司に訴えるもらちが明かず、「彼女」は裁判に訴え、2019年12月、東京地裁で判決があり、職場の対応は違法であり、女性に132万円の賠償を命じ、同じ階の女性トイレの使用を認めよとなった。女性の勝訴を受けて、経済産業省側が控訴し、2021年5月の東京高裁は、女性職員の間に、彼女の同じ階の女性トイレ使用に一定数の反対意見があるとの理由で、女性トイレ使用制限を適法と判決を下したので、今回の最高裁判決となった。

 

 性同一性障害はtransgenderともいわれ、本人の性自認を尊重するのが世界の潮流になっている。自認する性別に即した生活を送るという重要な法的利益を制約することは、許されるべきではないという東京地裁の判決を最、高裁判所は追認した。「女性」がしっくり合うという人に、あなたは生物学的には男性だから、女性トイレへの入室を制限するというのは、多様性を尊重すべき今の時代に合っていない。この機会に、性同一性障害を持つ人もいるという現実を受け入れ、職場においても、啓発目的の研修会を開催し、皆が快適に暮らせる社会を実現すべき時が来たと理解すべきだ。性同一性障害を持つ「女性」が、同じ階の女性用トイレを利用することによって失われる、他の女性職員らの利益と、「男性」が入ってこないという他の女性職員らの守られるべき利益を比較して、一般の女性職員らの守られるべき利益を過大に評価しており、「女性」の不利益を不当に軽視したため、経済産業省裁量権を逸脱・濫用したとして、違憲判決を言い渡した。