8月1日、米ロが第二次大戦後初めてとなる大規模囚人交換を実現した。Biden大統領の功績として称賛されるとともに、彼の後継者Kamala Harris副大統領の11月の大統領選挙の援護射撃となる実績を残した。米国、ドイツ、Slovenia、Poland、Norway、トルコ、ロシア、Belarusなどの各国による外交努力が実ったと報道されている。但し、せっかく捕まえたロシア人殺人犯Vladim Krasikov(58才、FSB高官、Putin直属の手下、ドイツの裁判所で終身刑)をドイツの刑務所からからロシアに返すのはあまりにも正義に反すると問題になっていたが、最後はBiden大統領の頼みに応じて、ドイツのScholz首相が決断を下して実現したという。
最終的には、ロシアに収監されていた米国人3人を含む16人をロシアの刑務所から引き渡す代わりに、米国をはじめとする各国は合計8人のロシア人犯罪人(全員刑法犯)をロシアに引き渡すことになった。もちろんこの中にPutinの手下のVladim Krasikovも含まれている。Biden大統領が自国民の開放に固執した3人のうち、2人は報道関係者、もう1人は私企業の役員でスパイ容疑だ。他にもう一人、英国・ロシアの二重国籍を持ち米国の住人であるVladimir Kara-Murza、彼はKremlinを公然と批判する作家で、反体制派政治家Alexei Navalny氏(この2月獄中でPutinに殺害された)の擁護者だ。彼は、今回の囚人交換による出国に際し、Putinに感謝する内容の文書に署名を求められて拒否したと伝えられている。米国は、この4人の米国関係者を開放するために、ドイツと交渉してPutinが一番取り返したいVladim Krasikovを開放するよう粘り強く説得した。
ドイツは、米国人政治犯開放のためだけに、極悪犯Vladim Krasikovを釈放するわけにいかず、ロシアに収監されているドイツ人4人+Belarusの刑務所に収監されているドイツ人(Rico Krieger)の開放を交換条件に出したと伝えられている。Rico Krieger氏は、Berlinの米国大使館所属の官吏でBelarusで反乱を企てたという罪で死刑判決を受けた人物だ。他のドイツ人はスパイ容疑で逮捕された者とか人権派弁護士などだ。
Slovenia、Poland、Norwayなどの国は自国民の開放をロシアに求める人物がないので、ロシアで反体制派・人権擁護活動家などとして獄中に閉じ込められているロシア人7人の政治犯の釈放を条件に、米国Biden大統領に協力したようだ。7人の内、4人は、2月に殺害された反体制政治家Alexei Navalny氏によるPutinの腐敗告発団体の職員・関係者、他の3人は人権派、ウクライナ侵攻反対派などだ。
今回成立した囚人交換の前に、Vladim Krasikovをドイツから取り戻したいPutinに、交換条件として、Putinの最大の政敵Navalny氏を釈放するよう交渉していたというが、そのさなかにNavalny氏はPutinに殺害されてしまった。Putinにとって部下を取り戻すより、自分の政敵を抹殺する方が重要だというmessageだ。とにかく、今回で引退するBiden大統領にとって、歴史に刻まれる大きなlegacy(遺産)を残し、Kamala Harris次期大統領に引き継ぐことになる。