アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

選挙前に政敵を殺害したPutin

 3月15-17日の大統領選挙を前に、Putinは最大の政敵=反体制指導者Alexei Navalny(アレクセイ・ナワルヌイ)氏を殺害した。Putinが、ロシア皇帝が住むような豪奢な宮殿を持っていることを、内部まで動画で撮って公表したことでPutinの最大の怒りを買い、2022年8月、飛行機の中で毒殺されかけたところ、ドイツの病院に助けてもらった経緯があるが、それでもくじけずロシアに戻ってきたら、過激主義を先導した罪で刑務所に送られていた。

 

 Navalny氏は弁護士から国会議員になった人物で、まだ殺されていなかった唯一人の実力者・政敵だった。Putinに毒殺されかけたにもかかわらず、安全なドイツから勇敢にもロシアに帰国したが、すぐに当局に拘束・収監されてしまう。でも彼は、自分の国も自分の信念も放棄したくない、裏切ることはできないという理由で、あえてPutinというトラが放たれている祖国に帰ってきた。

 

 「公正で自由な選挙により権力者を選ばなければ、国家は崩壊してしまう。Putinの偽りの国家は存続不可能だ。私たちは諦めてはならない。自分の信念を貫かなくてはならない。」と訴えていたNavalny氏死亡の報に、欧米各国からPutin非難の声明が出されている。過去23年余り権力の座に就いたPutinは自分に反対する数多の人間を殺してきた。毒殺、自殺に見せかけた事故死、変死など計り知れない。事件が発生した国では統治権を冒したとしてロシアに抗議をするも、犯人はロシアに帰国しており、Putinは知らぬ顔をしている。ロシア国内で起こった事件については、Putinが権力の座にいる限り絶対に真相はばれない。

 

 2年前、ウクライナ侵略戦争を仕掛けた頃から、戦争に反対する軍幹部、政府役人、Oligarch(新興財閥)などの実業家・超富裕層などが暗殺の対象になっている。2022年1月から今までの26か月間にPutinの指揮の元発生した暗殺事件は少なくとも49件、犠牲者の数は67人になる。(Suspicious deaths of Russian businesspeople (2022–2024) - Wikipedia)昨年8月にはロシア民間軍事会社Wagnerの幹部3人(Prigozhin、Utkin、Chekalov)を含む10名が搭乗していた飛行機が爆破され全員殺された。今回はNavalny氏一人だが、大統領選挙1カ月前という節目にどうしてもPutinとしては消さなければならない人物だったのだ。

 

 Navalny氏の死亡がすぐにロシアの民主化の契機になるとは思わないが、後世の歴史家が、この事件の後、Putinの運命が変わったと記すときが来ることを強く望む。