アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

自国内の制空権も失いつつあるロシア

 昨年12月、ウクライナ南部でミサイルによる待伏せ攻撃を受け、ロシアはSu-34(Sukhoi-34、スホイ)戦闘爆撃機3機を失った。150機ほど保有していた同型戦闘機は、ウクライナ侵略戦争開始から今までに少なくとも25機を喪失している。1機60億円だから経済的損失も結構大きい。1月15日には、ロシア南部アゾフ海沿岸で、ロシア空軍機A-50(AWACS = Airborne Warning And Control System=早期警戒管制機)と、Il-22(Ilyushin-22、イリューシン-22、空中指揮機)の2機ともウクライナのミサイルに撃墜された。A-50は1機500億円ほどの空飛ぶ管制官であり、戦争の現場になくてはならないものだ。ロシアにA-50は8機しか残っていなかったから1機失うのは大変な損害だ。空飛ぶ管制官の役割が果たせなければロシア空軍は出動できない。一方のIl-22は、空飛ぶ司令官であり、30機ほど保有していたと思われるが、指揮官が撃たれてしまっては、ロシア空軍の出番はない。両者の損失はかなり致命的な打撃になったと思われる。

 

 続いて1月24日、今度はロシアの大型輸送機Il-76(Ilyushin-76、イリューシン)が、ロシア西部ベルゴロド州で、ウクライナのミサイルに撃墜された。ウクライナが事前に入手した情報によれば、この大型輸送機には、対空ミサイルS-300用の迎撃弾など重要装備品が積まれていたはずで、米国からウクライナに供与された対空missileのPatriot(PAC-2)が撃墜に使われたと推測される。Il-76は墜落前に大きな物体を落下させたことが目撃されており、虎の子の重要装備品だけでも保存しようとしたのではないか。Il-76は40~50トンの積載物を積むことができ、離陸時最大重量170トンという巨大な軍用輸送機だから、相当の迎撃弾が積まれていたのだろう。

 

 ロシアはあまりのショックに、Il-76には「捕虜交換に向かっていたウクライナ人捕虜65名、乗組員6名、同行者3名が搭乗していたが生存者はいない」と、自国の捕虜をも抹殺するウクライナの非人道的行為を非難したが、今となっては、捕虜など一人も乗っておらず、実態は、乗員5人全員が死亡したというだけのようだ。ただ、1機6,750億円($45億)の輸送機の損失はロシアにとって、とてつもない経済的打撃であり、ロシア空軍の面子丸つぶれでもあるから、報復措置としてその後、ウクライナ全土にミサイルを飛ばし、にっくき敵国を執拗に攻撃している。

 

 これらの最近のロシア空軍の最重要軍用機が、いとも簡単にPatriotなどの対空ミサイルで撃ち落とされるとは、2022年4月、ロシア軍が黒海艦隊の旗艦missile巡洋艦「モスクワ」を撃沈されたのと同等のショックをもたらした思われ、もはやロシア空軍は自国内でも制空権を失っているといえるだろう。2~3か月以内に米国から供与されるF-16戦闘機が実動を始めたら、前線のロシア軍は手痛い打撃を食らうことになるはずだ。おりしも、現在、ウクライナ支援に要する資金の調達に関し、先進7カ国(G7)が、対ロシア制裁の一環で凍結中のロシア資産($3000億≒45兆円)を担保に借り入れを行うべく議論を進めている。西側諸国がロシア資産を担保に資金を借り入れた上で、ロシアに債務として返済を求め、応じないだろうから資産を差し押さえるということにするようだ。ロシアは制空権どころか、やがて経済もすべて失うことになるだろう。