アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ロシア製の戦車は安いのか

 3月24日、黒海の港に停泊中のロシア大型揚陸艦(Saratov)がウクライナの短距離弾道弾で爆破・炎上し、破壊されたが、昨日、4月13日、同じく黒海に停泊中のロシア・ミサイル巡洋艦(Moskva、1982年建造)が、ウクライナのミサイル(Neptune)を2発撃ちこまれて、巡洋艦に積んでいた弾薬が爆発、ロシア側の発表でも「重大な損傷を被った」というから、深刻な被害を受けたことがわかる。ミサイル巡洋艦Moskvaは、全長186mの戦艦で、ロシアはこのクラスのミサイル巡洋艦を5隻持ってたが、そのうちの1隻に甚大な被害が発生したのだ。ウクライナのNeptune missileは射程300km、昨年開発したばかりの最新鋭ミサイルだという。

 

 ロシアはMoskvaクラスのミサイル巡洋艦を3隻、更に大型の巡洋艦(全長251m)を2隻持っていた。戦艦大和の全長が264mだから、ミサイル巡洋艦の規模が想像できる。ミサイル巡洋艦のくせに、飛んでくるミサイルを迎撃できなかったとは、ウクライナのNeptune missileの性能が立派すぎるか、Moskvaのミサイル迎撃システムが時代遅れかどちらかだろう。誇り高いロシア軍は、ウクライナのミサイルが命中したとは言わず、艦上で火災が発生したと発表している。

 

 ロシア軍がウクライナの首都キーウ制圧を断念した大きな理由は、ロシアの戦車が、ウクライナ軍の持つ対戦車ミサイルJavelin(米国製)に、いとも簡単に破壊されたからということだろう。ロシアは世界第2位の武器輸出国だ(第1位は米国)。ソ連時代からロシアの戦車は価格競争力があり、世界中で売りまくっている。T-72(1972年開発版)を改良したT-90などが主力で、2019年には、インドがT-90を主体に、ロシアから戦車を$19.3億買付している。1両$150万(1.8億円)程度のものだから、1,000両以上輸入したと思われるが、Javelinのような対戦車ミサイル(1機$25万≒3,000万円)で簡単に吹き飛んでしまうことが、ウクライナで証明されたので、ロシア製の戦車を持っている国は、皆、頭を抱えていることだろう。$150万の戦車が$25万の携帯式ミサイルで破壊される。しかもJavelinは一度買ったら何回も撃つことができる。Cost performanceが非常にいいのだ。

 

 戦車と対戦車ミサイルの関係は、盾と矛を商う者の関係であり、Javelinでも破壊しにくい戦車は米国製で存在するが、ロシア製戦車の数倍するらしく、簡単には手が届かない。台湾のように隣に巨大な敵がいて絶対に負けられないという国は、大枚をはたいて米国産戦車でもミサイルでも買うが、問題は世界中に散らばっている既にロシア製戦車を買って保有している国だ。これだけ国家予算を使って買った戦車が、実戦でさほど役に立たないとウクライナが証明したおかげで、安物買いの銭失いと反省しているのではないか。

 

 ロシアの武器輸出額は2020年$32億(≒4,000億円)だが、今回のウクライナ侵略戦争により、ロシア製の武器の価値のなさが世界中に知れ渡ることになり、今後は武器輸出でも苦戦を強いられることになるだろう。戦費が底をついているはずのPutinロシアは、いつまで強気で戦争を仕掛け続けるのか、そろそろ限界に近いのではないかと思われる。