アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

リビアの独裁者カダフィ

リビアで大変な殺人が公然と行われている。今年になって革命の起こった隣国チュニジアとエジプトに挟まれたリビアには1969年に王制をクーデターで倒した独裁者カダフィ(Muammar Gaddafi)が41-42年に渡り憲法も作らずに君臨しているが、今回の反政府デモに対し治安部隊のみならずチャド・ガーナあたりから雇った傭兵を使ってデモ参加者を抹殺している。リビアから原油を買っている英国はデモ隊に対する殺傷はやめよとやんわりと伝えるだけで、米国にエジプトのムバラクに対するような発言力はない。カダフィに資金援助していないから言うことをきかなければ金を出さないぞと言う脅しが効かないからだ。
王制を廃止して自ら27才で王(「最高指導者」というようだ)になったカダフィ(1942年生まれ)はその10年後イラクの大統領になった5才年上のフセイン(Saddam Hussein, 1937 – 2006)を心から尊敬していた。人口650万人のリビアの親分にとって、人口5倍もある大国イラクの親分は5倍ほど価値があると思ったのだろう。イスラム共産主義の要素を少しずつ混ぜたようなカダフィ独裁政権は今まで徹底的に反対勢力を抹殺してきた。今も政治犯は多数牢屋に押し込められていると国外の人権団体が証言している。1988年のPan Am飛行機爆破事件(270名死亡)を起こしておきながら国連の経済制裁に抗しきれず2002年には責任を認めて米国に27億ドルの賠償金を払った。翌2003年尊敬するフセインイラク政権から追放され、フセインの二人の息子(ウダイ&クサイ)も米軍に殺害され、更に12月に入ってフセインが米軍に捕まるのを確認するやフセイン追放の原因となったWMD(Weapons of Mass Destruction =大量破壊兵器)をリビアは放棄すると発表した。米国(ブッシュ・息子)はWMDがゆえにフセインを倒したのであり、ブッシュは次はカダフィを倒すだろうとリビアの元宗主国イタリアがカダフィに伝えたからだと言われている。フセインのように終わりたくないとカダフィもその息子たちも思ったのだろう。リビアがテロの加害に対して米国に賠償金を払ったことで両国の外交関係が復活し経済交流も再開したがカダフィは米国に謝罪はしていない。テロは小国の大国に対する権利だと考えている。しかし自分の体制に反対する者は容赦なく殺してきたし今回の反政府デモにおいても数日のうちに200人以上を殺している。負傷者はその10倍にはなるだろう。外国のメディアが取材できないようにしているから大変心配な状況になってきた。