アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

追い出されたエジプトの独裁者

2月10日までは9月まで大統領の職に留まると公言していたムバラク(Hosni Mubarak)は100万人のデモ隊の前に11日ついに首都カイロを脱出、辞任に追い込まれた。腹心の部下スレイマンを副大統領に指名して自己の権限温存を図ったが納得しない人民に抗しきれず、大統領権限は(親米派の)軍に委譲され、混乱回避のため一時的に軍が暫定政権を担うことになった。これからエジプト人民の納得いくリーダーを選ぶことになるだろう。ムバラク一族はエジプトに外国資本が進出する際パートナー契約を結び巨額の報酬を手にしていたとのことで、マルコス、チャウシェスクなどのように国民から巻き上げた金を一族名義で欧米に送金しており、チュニジアで革命が起こってから辞任するまでの2-3週間の間にも巨額の資産を移したとされる。早速英国 Serious Fraud Office(重大不正取締局)が自国のみならずEU・米国・スイスにムバラク一族等の所有する海外資産を凍結するよう各国に協力を呼びかけたが、その総額は少なくとも700億ドル(約6兆円)といわれる。スイスは善良な国家を世界に印象付けるためいち早くスイス国内にあるムバラク一族名義の資産、ムバラク政権時代の元閣僚・与党関係者らの資産は全て凍結したと発表した。エジプトの国家資産が個人に横領されたものであるから、スイスの「常識的な保管料」を差し引いて国家に返還することになる。但し、口座名義人を明かさない番号口座に預けていた金は没収されず、後日、本人(ムバラクなど)が引き出しに行けばいつでも下ろすことができる。しかし現在82才のHosni Mubarak本人がこれからスイスまでのこのこ出かけて行き引き出すことができるかは大いに疑問だ。これだけ不正蓄財をしていた上にやらせで「親ムバラク大統領派」を雇ってデモ隊数百人に死傷の被害を引き起こした張本人が正々堂々とスイスに旅行することはままならぬだろうからだ。この前独裁者は多分この世でスイスの銀行の番号口座を引き出しに行くことはできないだろうから、その場合この口座の金は平均月収19,000円のエジプト人たちから一人当たり国民総所得世界第3位(2009年)の超大金持ち国に贈与することになる。ムバラクの二人の息子たちも当然番号口座を開設しているはずだが、これらの若者は既に国外におり、新政府によりエジプトに連れ戻されない限り番号口座が没収されることなくその金を使って死ぬまで優雅に暮らすことができるのだろう。尤も、大統領の後継者と決まっていた次男Gamalは居を構えるロンドンのナイトクラブで一本200万円以上(16,000ポンド)もするシャンパンを飲んで豪遊していたというから、Gamal夫妻名義の口座がすべて没収された暁にはもっと安いシャンパンに格を落とす必要があるかもしれない。(僕はロンドンのレストランで1本5万円のワインを注文した社長からその赤ワインを飲ませてもらったことが一度だけあるが、岸和田で手に入る一本千円程度のワインと大して味の差はなさそうだから、Gamalが1本5万円のシャンパンに落としてもさほど落ち込む必要もないでしょう)