アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

カダフィ独裁の終わりの始まり

国連安保理事会決議1973(リビア国民の保護のためリビア全土に渡って飛行禁止区域とし、そのための武力行使を容認)を受けて20日から仏英米伊加5ヵ国連合軍によるカダフィ派に対する空爆が始まった。このタイミングで始めなければせっかく反カダフィ派が制圧したベンガジまで奪還される恐れがあったから、空爆開始が2-3日でも遅れたらどうなっていたかわからない。国連安保理には英米仏露中という拒否権を持った国があり、今回打倒カダフィでまとまっている英米仏に対し、カダフィに似たほぼ独裁的人物が牛耳っている露中が問題だった。ここまで約1ヶ月間で反カダフィ派市民8,000-10,000人を無差別に殺害してきたカダフィの暴挙に対しさすがの露中もカダフィを支持するわけにいかず、決議に棄権したのでやっと武力行使に国連のお墨付きが得られた。自国民を空爆するなど目に余るカダフィの暴挙に対し、国際社会が「内政不干渉」の方針を貫けば、スペイン市民戦争(1936-1939)で英仏がフランコを支持したのと同じ効果を生み、米国がルアンダの大虐殺(1994年)を容認したのと同罪になる。過去の歴史の反省からか今回は正式な国連安保理決議を得て仏英米主力軍による空爆に至った。明日22日からはカタールデンマーク等4ヵ国も加わり連合軍は9ヵ国体制になる。これにより、ベンガジ近郊まで迫っていたカダフィ派の戦車はフランス軍空爆で無残な姿になり、トリポリにあるカダフィの本拠地(3重のコンクリートで覆われた強固な建物Bab al-Aziziyah)も瓦礫と化したようだ。但し、カダフィは常に自宅にいるわけではなく、昔からいろんなテントをねぐらにしているので、トマホークがBab al-Aziziyahを爆撃した時に自宅にいたという保証はない。地上を移動する時も6-7台の自動車を縦列で移動し彼が何台目の車両に乗っているか分からないようにしていた。昔出張中にトリポリで6-7台の自動車が縦列で猛スピードで進むのを見た時にあのどこかに親分がいると駐在員からきいたことがある。カダフィの誤算は米国が軍事介入しないだろうとみていたのと、アラブ連盟が飛行禁止区域設定に賛成しないだろうとみていた点にある。仏英米伊の軍事介入の目的は名目上はリビア市民の保護にあるが真の狙いは世界の石油埋蔵量第8位のリビアの石油にある。パンアメリカン機爆破事件の犯人をリビアに返した見返りに英石油大手BPが手に入れたリビア沖海底油田の権益を、カダフィ亡き後の次の政権が引き継いでくれなければ英国にとって失うものはとんでもなく大きい。仏米伊は現在リビアの石油に何ら権益を持っておらず、失うものは何もないが、新政権がよきに計らってくれるよう「Odyssey Dawn(冒険の夜明け)」作戦により恩を売っておく必要がある。犯罪の裏に女あり、冒険の夜明けの裏にリビア石油の夜明けを待つ商人の影ありだ。