アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

原発は安物買いの銭失い

会社の元上司のマニラ駐在仲間に日立の元社員がいて、彼の同僚が1996年に残した遺稿がインターネットに発表されている。       http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html
この人は平井憲夫氏、元日立で原発事業部の技術責任者だったが20年の勤務中に放射能で被曝し癌になって1997年1月亡くなった。あたかも福島第一原発の重大事故を15年前に予言していたような内容で、この事故を契機に日本人の原発に関する楽観的見方を180度変える必要がある。福島第一原発一号機「Mark 1」を設置した米国General Electric の技術者3名が日本の地震津波の実態を知って会社に改善を求めたが、費用がかかり過ぎて採算に合わないと断られ、抗議の意思表示として全員辞職したと今回の事故の後、その技術者の一人がインタビューに答えていた。1971年に設置して、1976年に抗議辞職していて、東電もなぜ彼らが退社したのか理由を知らされていた。もともと耐用年数10年となっていたので既に5年経過しておりあと5年くらいは災害もなくもつだろうと考えていたのかもしれないが、こともあろうに2011年の地震まで40年も使い続けたのだ。1979年に米国でThree Mile Islandの原発事故があり、同様の事故が自分達の設置した福島第一でも起こり得るとこの技術者は心配したと言う。原発は作る技術はあっても使いこなす技術や災害から守る技術、物理的に修復する技術はどこにもない。事故が発生しても放射能が大量に出るから近づいて修理できないのだ。虎とライオンを掛け合わせてかわいい赤ちゃんを作りペットに飼うようなものだ。この子が成長すると人間はこの化け物を制御できなくなる。原子炉の廃炉・解体も放射能が強すぎて不可能だから事故が起こるまで使い続けるしかない。イタリアは原発を6基持っていたがチェルノブイリの事故を教訓に1990年までにすべてを閉鎖した。それでも、未だに莫大な費用をかけて監視・管理している。何十年後に廃炉・解体できるか目途も立っていないし、放射能まみれの原子炉の解体には造る時の何倍もの費用がかかる上に大量の作業員の被曝という犠牲を伴う。更に使用済みの放射性廃棄物の処理には300年以上管理・監視する費用もかかる。福島第一原発の原子炉についてチェルノブイリ原発事故を経験したロシアの技術者は、コンクリート製の石棺で覆う(放射性物質を閉じ込める)しかないというが、核燃料からの発熱が続く間(数年~十数年?)は流し込んだコンクリートにひびが入ってしまうため着工できないそうだ。作業員の人的被害は別にしても、単純に300年単位で原発の総コストを計算すると一番安いはずだった原発による発電コストは何よりも高いものになることは間違いない。安くて安全という国家挙げてのまやかしはもう通じない。