アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

英国の国営原子力施設Sellafield

英国北部のSeascaleという町に第二地大戦の頃から爆弾製造工場があった。戦後は国営原子力工場として軍事用プルトニウムの製造工場、使用済核燃料処理工場に変身してつい最近まで日本にMOX燃料(Mixed Oxide fuel、ウラン・プルトニウム混合燃料)を供給していた。この会社が日本向けMOX燃料の販売にめどが立たなくなったとの理由で先週(8月3日)工場閉鎖を発表した。要するにこんな危険な燃料を欲しがる国は日本しかなかったということで、日本が脱原発に舵を切りだしたものだから他に売る国はないのだそうだ。(ドイツは早々とMOX燃料実用化を断念した)Seascaleは世界で最初に商業原発が稼動した場所で、半世紀以上前の1957年原子炉2基で世界初の原発火災事故が発生、16時間燃え続け、多量の放射性物質を大気中・海洋に放出した。その後のアメリカThree Mile Island事故(1979年)、ソ連Chernobyl事故(1986年)、2011年福島第一事故をみれば、世界はこの時点で原発の怖さを認識すべきであったのだろう。Seascaleの海洋汚染は世界最悪と形容され、放出された放射性物質の量はピークだった1975年で9千兆ベクレル以上(事故だけでなく再処理工場から出た放射性物質も含む)というから、いくら世界の海は広しと言えども地球上の生物に悪影響を及ぼさないことはない。魚は永久に放射能汚染された海水中で暮し続け、その魚を食べた北海のアザラシが大量に死んでいるのが見つかる。Seascale近郊の陸地の住民の小児白血病発症率は英国平均の14倍。Sellafield核処理工場労働者の子供を調査したところ5人に1人が小児白血病だという。ほかに目立った産業のないSeascaleにおいて、1万人以上の従業員を雇用するSellafieldは、地元最大の雇用主。誰も原子力施設を望んでなんかいないが、ほかに選択肢がないという事情は世界共通の原発立地条件。表現は悪いが空腹の人に毒饅頭を渡せば大体食べてくれるというようなものだ。Seascaleにあった使用済み核燃料再処理工場(Thorp plant)でも2005年配管破損事故があり、プルトニウム200kgを含む、83㎥の硝酸液体が漏洩した。現場には人間は近づけず、施設は閉鎖されたままだ。この事故処理には英国民の税金一兆円以上かかるといわれる。英国には核は経済合理性がないとの理由で原発反対派もいる。技術的に核の平和利用は全く安全ではない。高速増殖炉もんじゅ六ヶ所村核処理施設も変装した核兵器であり、そんなところに我が国の未来も将来もない。我らはSellafieldから学ぶところがたくさんあったのに残念でならない。