アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

独裁者は選挙が嫌い

2010年11月に行われたコートジボワールCote d’Ivoire, 象牙海岸)大統領選挙決選投票で現職大統領バグボ(Gbagbo)は元首相ワタラ(Quattara)に46:54で負けた(と選挙管理委員会も国際監視団体も認めている)にもかかわらず、バグボは相手陣営による投票の妨害や不正があったと言い張って大統領職に居座っていた。本当は自分が51: 49で勝ったと勝利宣言している。国連も旧宗主国フランスもこの事態を静観しているわけにいかず、先週になって仏軍と国連PKO部隊がヘリコプターでバグボ私邸や大統領府を空爆した。その後日本大使館にもバグボの傭兵武装集団が侵入し大使一行7名が防弾扉のついた部屋に避難し十数時間後に仏軍ヘリコプターで救出された映像が日本のテレビでも流された。私邸に立てこもって重火器でワタラ側部隊と闘っていたバグボは本日ついに仏軍特殊部隊に捕まり、身柄は真正な大統領ワタラ氏側に引渡され、一件落着した。バグボはクーデター後のどさくさの中に2000年大統領に就任し、本来なら2005年に大統領選挙をすべきだったが政府軍対反乱軍の内戦になったことをうまく利用して昨年まで選挙を引き延ばしてきた。その間国家の財産を不正に蓄財しスイスの銀行に預けていたが選挙で負けたにもかかわらず居座っていたので2月にスイスは彼の保有するスイス国内の資産を凍結したいきさつがある。フィリピンの元大統領マルコスはバグボのよき先輩格に当たる。マルコスは1986年の選挙でアキノ夫人に80万票差で負けたにもかかわらず自分が160万票差で勝ったと主張すべく選挙結果の改ざんを部下に命じていて、勝利宣言をしたが、それから2週間もしないうちに身内の側近エンリレ国防大臣、ラモス比国軍副参謀総長(マルコスのまたいとこ、後の大統領)の造反により妻イメルダと共に国外逃亡、その3年後彼は死ぬことになった。彼がアキノ夫人に選挙で負ける3年前、彼の政敵ベニグノ・アキノ(アキノ夫人の夫)暗殺を部下に実行させている。不正蓄財の国家財産はマルコス夫婦の個人名でスイスの銀行に預けられており、さぞかしバグボにとって見習うべき先輩であったのだろう。かくして権力と金に貪欲な人間の歴史は繰り返される。