アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

シリアの第二世代独裁者

チュニジア・エジプト・リビアに続いてシリア(トルコ・イラクに挟まれた人口2,200万の国)でも独裁者追放の民衆運動が激しくなってきた。現大統領(Bashar al-Assad, 45才)は16日、ついに悪名高き治安維持法(Emergency Law=非常事態法)を1週間以内に廃止すると表明したがこれで民主化運動が収まるはずはない。この非常事態法は逮捕令状なしで市民の逮捕を可能にする独裁者にとっては非常に便利な手段で、長年に渡って合法的に反政府活動家を弾圧してきた。現にこの法律により現大統領の父(Hafez al-Assad, 1930-2000)がクーデターで国を乗っ取った1970年以降、反体制派を投獄し、拷問し、最終処分をしてきたのだ。2000年に父が死んで現大統領が34才で大統領に即位。(実際は議会による形式的信任投票があるが2-3人の無効票以外ほぼ100%の信任)リビアサウジアラビアと共に人権抑圧国家の代表格であるシリアでは国家による殺人が反体制派弾圧のため日常的に行われているが、更にhonor killingと称する名誉のための集団内殺人もほぼ合法化されている。親の決めた男と結婚することを拒否した娘、嫁ぎ先の虐待に耐えかねて実家に戻った娘、婚前交渉、駆け落ち、不倫は家族・共同体の名誉を傷つける行為であるため虐殺が許される。男女間の問題が発生すると必ず女性が悪者になる。家族内・集団内でこのような女性を虐殺した男には従来お咎めがなかったが国際社会から非難されるに至り最近最長2年の懲役刑とした。17日、反体制デモによる死亡者の葬列が治安部隊の発砲を受け、3人が死亡したと報道されたが、強権体制の独裁者にとって人権活動家による反体制デモは不名誉な行為であるから、このような集団内殺人は合法化されるのだ。同じ親子二代の独裁者国家としてアサド父子は北朝鮮とは伝統的に友好関係にあり、軍事交流や弾道ミサイルなどの北朝鮮製兵器を買い、共同で核開発計画も行っているとされ、2007年にはイスラエル空軍によって核開発施設と見られた建物が爆撃された。もともと農業・石油資源・出稼ぎで経済を支えてきたシリアだが、アメリカからテロ支援国家に指定され禁輸措置によって経済が低迷している上に、独裁者一族・取り巻き連中による汚職、高失業率などにより人口の30%は貧困層といわれている。自由を求め数万人のシリア人が命を懸けて民主化の街頭デモに繰り出している。「今行動しなければ我々は不自由で空腹な豚として生涯を終わることになるだろう」というのだ。