アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

シリアの大量殺人犯

2011年春から始まったシリアの反体制闘争は、客観的には内戦ではあるが、実体は国家権力を自由自在に使って大量殺人をしている独裁大統領派(Bashar al-Assad)と、少数派の大統領一派に命がけで抗議するその他大勢の国民の戦いだ。要するに国家権力と国民の戦いである。制空権を有する空軍を使うから大統領派が軍事的に圧倒的に強く、既に反体制派国民の死者は6万人超(国連発表)といわれているも、英国に拠点を置くシリア人権監視団によると、実際の死者は10万人に達する可能性があるという。

しかし、死を覚悟した反体制派の反撃も強力で、多数の諸外国が反体制派に武器弾薬を提供し続けた結果、圧倒的優位と思われていた大統領派は軍事的にも劣勢になりつつある。国際社会から非難されている大統領Assadの擁護者であったロシアも形勢不利とみてAssad退陣を要求し始めた。大統領派の元政府高官・首相などAssadに愛想を尽かして反体制派に寝返った者も多数いるが、12月26日にはついにシリア憲兵隊司令官までAssad政権を離反、反体制派につくと発表した。

シリア国民を擁護すべき立場にある大統領が自国民を殺害するために国家権力を使い、6~10万人もの国民を空爆等で殺すという暴挙をなぜ国際社会が止めることができないのか。Assadは自国民にクラスター爆弾化学兵器(多分マスタードガスかサリン等の毒ガス)等を使って保身を図っている。国際刑事裁判所に引っ張り出されれば、間違いなく人道上の罪に問われ死刑になるだろう。国連安保理が何度もAssadに圧力をかけようとしたが中露の反対で実現しなかった。この二カ国はAssadが大量の武器を買ってくれる上客である上に、シリアのタルツース港にロシア海軍の地中海拠点を置かせてもらっている義理がある。

イラクフセインリビアカダフィも自国民を殺害し始めてやがて米欧諸国に追い出された。イラクリビアには米欧諸国が人命以上に価値を見出す石油があるからだ。だがシリアには地下資源がない。Assadは確かに極悪だが、現在反体制派第一線でバリバリ活躍しているのがアルカイダイスラム過激派であるという事実があるからのようだ。反体制派に武器弾薬をどんどん渡すと、いずれAssad政権失脚ののち、その武器弾薬はアルカイダの手中に残る。その武器を持ってアルカイダアメリカの出先を攻撃する可能性もある。そんな心配からアメリカの態度が未だはっきりしない。しかしシリアの犠牲者が今の二倍になる前に必ずAssadは倒されるだろう。

フセインカダフィに続き、新年はアサドが倒される年になると予想されるが、シリア国民の苦しみを思うと一刻も早くその時が来てほしいものだ。