アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

厳格な銃規制か完璧な銃装備か

12月14日のSandy Hook小学校における銃乱射事件以降、全米が安全を確保するには徹底した銃規制かより高度な銃装備かで議論が分かれているようだ。もちろん更なる銃装備を主張する一派はNRA(National Rifle Association of America=全米ライフル協会)、ここの主張は「銃を持った悪い奴らを止めるには、いい人間が銃を持つしかない。(“The only thing that stops the bad guy with a gun is a good guy with a gun”)」

確かにあの小学校で教師が武装していたら早めに銃乱射犯を射殺できただろう。警察が到着するまで犯人は教師・生徒を撃ちまくっていたのだから。今からでも遅くない、退職した警察官や軍人ら高度な銃の訓練を受けた人材を各学校に配備して警備を強化すれば犯罪者は撃退できる。大統領を守るための銃は良くて、子どもを守るための銃がなぜ悪いのかと、銃規制派に反論する。車を持っていれば自動車保険に入る、家があれば家財保険に入る、安全を確保したければ銃を持つ、という論理だ。

しかし、2億丁以上の銃が野放しになっているアメリカで、銃による犠牲者が年間3万人+負傷者年間7万人は、ダントツ世界最悪の国だと銃規制派は訴える。なぜ軍人でもない一般市民が武器を必要とするのか、自国民と訪問者の基本的な安全さえ守れない国とは、人権擁護の世界的リーダーとしての立場もなく、先進国として恥ずべきことだ、と主張する。だから銃の所持自体を禁止すべきだ。そこまで徹底しなくてもせめて殺傷力の高い銃を禁止せよという。

太陽ではなく、北風で問題に対処すべきだという銃装備派の論理は、この問題を解決するには際限なく風力を強くしなければならないということになる。手動装填式銃に対して、自動装填式銃の方が強い、回転式拳銃に対して、自動拳銃の方が強いとなれば、より高性能の銃を持つ方が安全となる。かくして散弾銃、機関銃、狙撃銃等より殺傷能力が高い銃の需要が出てきて、結果的に銃器製造業界が潤う。米国製銃器は国内市場のみならず一大輸出産業だ。国内で実績を積んで世界中に売りまくる。アメリカの兵器ビジネスは世界中に際限なく武器弾薬を売りまくることを目的としている。プリンターを安く売っても専用のインクは高く売れるから儲かるように、銃を多少安く売っても弾薬は必ず買いにくるから弾薬で儲ける。北朝鮮のような軍事挑発国があればアジアの安定のためという大義名分のもと、アメリカの兵器ビジネスも安泰だ。

NRAの背後にはこの巨大な米国兵器製造業界がある。そしてNRAの主張の前提として「悪い奴らにも銃を持つ権利がある」わけで、この悪い奴らがより強力な殺傷能力のある銃を持つのだから、我々いい人間は更に高性能の銃で武装せよという。行きつくところはGPSを利用した無人銃(小型無人機からピンポイントで狙撃する)となれば、どこにいても米国内には安全な地点はないということになる。そろそろ銃装備派も太陽に当たり目を覚ます頃ではないか。