アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

全米ライフル協会

今月14日、Connecticut州NewtownのSandy Hook小学校で発生した銃乱射事件を受けて、再び銃規制の声が高まっている米国では、毎年約10万人もの一般市民が銃で撃たれ、そのうち1万~3.8万人以上が死亡している。毎日30~100人の善良な市民が銃により命を失っているということだ。4日前の事件では、犯人は離婚した母親と二人暮らしの息子(Adam Lanza、20才)で、高級住宅街に住む母親は銃の収集家であったとのこと。14日朝、犯人は自宅で母親の顔や頭などを銃で撃ち殺害した後、母親の自動車に乗って自分の卒業した小学校に押し入り、事件を起こした。女性校長(Dawn Hochsprung、47才)を含めすべて女性の教師6人と、一年生の児童20人(女児12人、男児8人)が1人数発~十数発の銃弾を受け即死。10分以内に警察が到着したことを知って犯人は自殺したが、警察の到着が遅れていれば、犠牲者の数は2倍にも3倍にも増えていただろう。

自分の身は自分で守るという哲学の米国には、NRA(National Rifle Association of America=全米ライフル協会)という会員数約430万人を誇る銃器製造業者・販売業社・銃愛好家の団体がある。1871年創立のこの市民団体は人間性悪説に立ち、悪者に立ち向かうには善良な者が銃で自己防衛しなければならないと考える。今回の事件でも、気の利いた教師が一人でも銃を隠し持っていれば、或いは、銃を持った警備員がいれば、犯人を早めに撃ち殺すことができ、犠牲者の数がこんなに増えることはなかったと主張する。現にMichigan州などでは教師が学校に銃を隠し持って来るのは合法だ。事件のあったSandy Hook小学校から車で30分ほどの銃砲店では、事件の後、銃を買いに来る人が急増しているのが現実だ。

NRAが銃による自衛権を主張する根拠は、合衆国憲法修正第2条(銃を所持する権利)による。
“A well regulated Militia being necessary to the security of a free state, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed.” (規律ある民兵は自由な国家の安全に必要であるから武器を保持し携帯する国民の権利はこれを犯してはならない)

この条文は「民兵」に関する規定であり、「一般国民」が銃を持つ権利とは謳っていないが、連邦最高裁判所は2008年7月、同条項を「個人の武装権を認めたもの」とする判決を下したことからNRAは益々銃規制に反対する。しかしそもそも銃で身を守ることが本当にできるのだろうか。争いの渦中にいる者、精神の正常でない者等人口の一定割合はどこの国にもおり、これらの者が自由に銃を所有できるなら銃による犠牲者が減ることなど期待できないと悟るべきだ。NRAは従来より、銃メーカーの広報部として、巨額の資金を使い、銃規制を主張する国会議員候補者の落選を画策するロビー団体として活動してきた。今回、犠牲者の大半が6-7才の子供達であったことから、アメリカ国民は、もはや銃規制なくしてアメリカの安全はあり得ないと思いだしたようだ。二期目に入ったObama政権の最重要課題の一つになるだろう。NRA本部の外では銃規制派のデモがおこなわれていた。
"Kill the 2nd Amendment, Not Children!" (憲法修正第2条をなくせ、子供をなくすのではない!)
"Protect Children, Not Guns!"(子供を守れ、銃を守るのではない!)