アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

勇気のいる識者

福島第一原発一号機「Mark 1」を設置した米国General Electric の技術者3名が設置場所である日本の地震津波の実態を知って会社に改善を求めたが、費用がかかり過ぎて採算に合わないと断られ、全員抗議辞職したのは1976年、設置から5年経過していた。こういう場合アメリカでは「年俸XX万ドルの技術責任者が会社の方針に反対して辞職の道を選んだ」と新聞に出る。高い年俸の人が抗議辞職するほど社会的な圧力になる。彼らは先にアメリカに設置した原子炉と同じものを作るように指示され、それを日本に設置せよと言われて会社の方針に従っただけだが、その日本に地震があると知ったのは1971年に設置してから3-4年後だという。福島第一原発一号機「Mark 1」がその後順調に稼働しているか点検に日本に来る機会が増え、彼らは日本に地震があるということを知る。Mark 1はそんな耐震設計になっていないので改良工事を会社に強く勧めたが費用がかかり過ぎると断られたので、もうそんな会社には居たくないとやめたのだ。次に行くあてがあって辞職したのではないから無謀ともいえる勇気のある行為だ。年俸より自分の信念を通す。こんな人はアメリカにも少ない。
一方で、文部科学省が小学校などの校庭利用を制限する放射線量基準値を20msv/年とするなんてとんでもないと自説である1msv/年を主張して譲らず、内閣官房参与という「名誉」を捨てて参与を抗議辞任した東大教授がいる。放射線防護の専門家である小佐古東大大学院教授は4月30日付の辞任届を首相官邸に提出した。外部被曝を20msv/年とすると、内部被曝が4倍ほどあると考えられるので年間被曝総量は100msv となる。放射線リスクを低めに見積もる国際放射線防護委員会の論理では、100msvで発癌率が1%上がるとしているが、客観データでは5%くらいだろう。5%の発癌率上昇要因が無視してもよい程度とは誰も思わないだろうが、小学生も老人も含めて平均発癌率5%上昇ということは、小学生だけの発癌率を見るとはるかに高いものとなるから小佐古教授は断固反対しているのだ。年間被曝総量100msvで老人の発癌率は1-2%ほど上昇するだけかもしれないが、小学生の発癌率は10-20%の可能性があるからとんでもなく危険なのだ。ドイツの原発労働者に適用される年間の外部被曝放射線量は最大20msvで管理されている。彼らは被曝のリスクのある職業を(生計のためやむを得ずかもしれないが)選択して報酬を得て(恐らく)納得づくで被曝している。若者もいるかもしれないが小学生ほど細胞分裂の活発な者はいない。日本の小学生に外部被曝線量の最大値をドイツの原発労働者と同じ基準にするのは、あたかも国家ぐるみで福島に炭疽菌のような生物兵器をばらまくようなものだ。でも同じ放射線の研究者で年間20msvが妥当という識者はどうぞご自分の子供とか孫をそのような校庭で遊ばせてどのような結果になるか統計をとってください。そのような勇気のない研究者は我々の社会にとって有害なだけだから、ご本人も早くたくさん被曝して我々のもとから消え去ってほしいものだ。