アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

いつの時代もいる無知者より有害な「識者」

1925年ノーベル文学賞受賞者バーナード・ショー(George Bernard Shaw)は当時の英国で「無知な者よりたちの悪いのは偽の”知識人”だ。彼らは暇にまかせて勉強だけをする怠け者だ。」と風刺した。今の日本にも当てはまる意味深長な言葉である。6年前12月、猛毒プルトニウム原発に使うプルサーマル推進派と反対派の公開討論会で、推進派の東大教授大橋靖雄(御用学者)は反対派の京大教授を小馬鹿にしてこう言った。「水素爆発なんて絶対に起こりません。原子炉が壊れたら等という仮定をするのは地球に隕石がぶつかってきたらというようなもので、そんなに心配なら自動車に乗るのも自転車に乗るのも路上を歩くのも大変危険な行為となる。プルトニウムを食べても飲んでもおしっこになって出るから大丈夫。」反対派の京大小出教授はプルトニウムを吸い込むとどんなに恐ろしいことになるか具体的データを基に反論したが、一般の聴衆は人柄から京大教授の発言を信じたのではないか。その後5年ちょっと経過して水素爆発も原子炉損傷も起こってしまい、この御用学者は雲隠れしてしまったようだ。

今度は福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに任命されている長崎大学の御用学者山下俊一は、年間被曝量100msvまで安全・安心などとぬけたことを言って住民から政府に解任請求が出されている。「人間はいつか必ず死ぬ。年間100msvで発癌率が1%上がるが、もともと日本人の3人に1人が癌にかかっている。ニコニコ笑って暮らすと大丈夫。くよくよする人が癌になる。」100msvで発癌率が1%上がるというのは放射線リスクを低めに見積もる国際放射線防護委員会の論理だが、個人の研究者は7.5%というデータを出しており、恐らく真実はこの中間(5%くらいか)にあるのだろう。国際放射線防護委員会の計算モデルでは年間50msvで発癌率が0.5%となっているから、その場合、真実は2.5%くらいだろう。でも癌は一般的に若者のかかる病気ではない。被曝による発癌率は老若男女平等にかかってくる。若者の癌が問題なのだ。CT検査を受けると10msvの被曝というが、それはCT検査を受けた体の部分だけしか被曝しない。福島の原発事故で10msv被曝するとそれは全身だから、比較が間違っている。しかもCT検査を受けて被曝する人にはそれによって病気を見つけるとか治療方針が決められるというメリットがあるから患者は納得づくだ。医療被曝がいやならCT検査を受けなければよい。福島の被曝は住民に何のメリットもないどころか、被曝を避ける選択権もない。こんな有害な「識者」が東大で授業をしたり「放射線健康リスク管理アドバイザー」を務めていたりしているなら、我が国はバーナード・ショーの嘆いていた100年前の英国からあまり進歩していないようだ。

George Bernard Shaw:A learned man is an idler who kills time with study. Beware of his false knowledge; it is more dangerous than ignorance.