アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

経済格差社会を糾弾するデモ

ニューヨークで始まった経済格差を糾弾するデモは米国各地、英独伊加豪、日本を含むアジア各国に広がった。共産主義より合理的ということで人々の賛同を得ていたはずの資本主義だが所得の再分配による修正を迫られている。いくら働けどわが暮らし楽にならずの程度をはるかに超えて貧困層が増えすぎ、一方で社会の富をごく一部の人間が独占して優雅な生活をしているというのは、フランス革命前夜の状況とダブってくる。1970-1980年頃の米国では収入上位1%の国民が全国民の収入の約10%を占めていたが、この上位1%の収入比率は2005年以降20%を超え、最近では28%になっている。このことから、米国では1%の富裕層が99%の人間を搾取しているとして大規模なデモに発展したようだ。Bill Gatesのようなごく一部の超大金持ちがいること自体を問題にしているのではない。2008年発表のOECD経済統計によると、米国の上位10%の平均収入$93,000に対して、下位10%の平均収入$5,800となっており、上位10%の者が、下位10%の者の16倍の収入を得ているという階層社会が問題なのだとしている。OECD30ヵ国の中でこの格差が5倍前後で最も低い国はデンマーク、スエーデン、フィンランドあたりだ。同年の日本の統計では上位10%=$60,000に対して、下位10%=$6,000となっており、我が国の格差は10倍。
米国における上位20%の者と下位20%の者で比較すると、収入格差比率は40倍にもなり、明らかに二極化していることが分かる。下位20%の国民(4,100万世帯)は日常生活における必需品も買えないほどの貧困者だ。OECD基準ではその国の平均所得の半分以下を得ている者を「貧困者」と定義しているので、米国の全体の平均収入が$30,000であるから、$15,000以下の者が貧困者となる。成功も失敗も個人の努力の結果とする「個人主義」で解決できる問題ではなく、ここまでくると政治の問題だ。米国におけるカード・ローンによる破産者は日本よりはるかに多いが、それよりも多い破産の原因は医療費負担である。日本のような一般の国民が加入できる健康保険がなく、保険料が高いため医療保険をかけていない人が圧倒的に多く、しかも医療費が極端に高いので、病気になると破産するのだ。社員の平均給与の1,000倍以上の報酬を得ているCEOがたくさんいる。資本主義にもほどがあるというもので、富の再分配を公平にしなければやがて米国にもかつての「フランス革命」が起こるのではないか。