アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

カダフィ一族の末路

金曜日やっとリビア人が待ちに待った日が来た。42年間君臨した独裁者カダフィが水道管の中に隠れたところを見つかり殺された。報道によれば拘束された時は生きていたが19才の反カダフィ派の少年が無意識のうちに射殺したという(22才のベンガジ出身の若者という説もある)。恐らく家族に犠牲者がいたのだろう。Pan Am機爆破事件で兄を亡くした米国人は「やつを一度しか殺せないのが悔しい」と発言していた。エジプト・チュニジアの大統領が追放されたのを見ても、自分は大統領でも国家元首でもなく単なる大佐だから立場が違うとうそぶいて人民の弾圧・殺戮を続けてきた男だが、裸の王様を支持する同国民の数はごく少数になり、ようやくカダフィの生地 Surt が陥落してリビア全土が解放された。最後までカダフィを支持し続けた中露にとっては分の悪い結末になった。この故独裁者には1人の妻のほか7人の息子と1人の娘がいた。長男(Muhammad、元リビア・オリンピック委員会会長)のみ先妻の子で、彼は母(カダフィの妻)・弟(五男)・妹と共にトリポリ陥落直前の8月アルジェリアに逃亡。次男(Saif al-Islam、事実上親父の後継者だった、国際刑事裁判所から人道に反する罪で訴えられている)はBani Walid に潜んでいたという情報の後行方が分かっていない。三男(Saadi、国際刑事警察が指名手配中、元リビア・サッカー協会会長)はイタリアでフットボールの選手をしていたがカダフィ家の一大事と親父に呼び戻され人民弾圧の陣頭指揮を取っていたところ、勝ち目ないと観念して早々隣国ニジェールに逃亡。四男(Mutassim、次男に次ぐ親父の後継者候補)は親父と同時に拘束され殺害された。遺体は親子そろって一般市民の見世物になっている。五男(Hannibal、スイス・フランスでも逮捕・国外追放された実績を持つ親父勝りのゴロツキ)はトリポリ陥落直前に長男らとアルジェリアに逃亡。六男(Saif al-Arab、元々ドイツ留学中だったがお家の一大事で親父に呼び戻された)は8月トリポリ市内の戦闘で反カダフィ派に殺害された。七男(Khamis、カダフィ政権の最強軍団「第32師団」の総司令官)も8月末、戦闘で反カダフィ派に殺害された。長女(Aisha、弁護士、故Saddam Husseinの弁護団の一員だった)及び妻(Safiya Farkash)も長男・五男と同時にアルジェリアに逃亡。長女はアルジェリアに逃亡後も父(Gaddafi)に逆らう者どもは必ず天罰を受けるだろうなどと遠吠えしていたが、その親父は拘束された後反カダフィ義勇軍にもてあそばれて虐殺された映像が世界中に広まり、無事国外逃亡を果たしたこれらのカダフィ一族の残党も新政府が国内に連れ戻し裁判にかけることになるだろう。9ヵ月前は王室並みの一族だったが、おごれる者も久しからず、砂上の楼閣(Bab al-Aziziya)は蜃気楼のように消え去った。カダフィ享年69才。