アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

砂漠の平家物語

2月の反政府デモ弾圧から半年に渡る流血、数万人の死者、その数倍の負傷者を出して現地月曜日(8月22日)ついにカダフィ側は首都Tripoliを反体制派に制圧されたようだ。その間カダフィの二人の息子は空爆等で殺され、今日は次男・三男が反体制派に捕まり、長男は自宅に押し入った反体制派に投降したという。カダフィの息子は7人だから、まだおやじと行動を共にして生存している息子は二人だけとなる。カダフィ派の閣僚、首相、元首相など多数が他国に亡命したり反体制派(National Transitional Council=国民評議会)に寝返ったりしている中で、カダフィ一派が武力で抵抗できる期間は限りなく短いと思われる。

1969年、時の国王が外国訪問中に27才の大佐カダフィ(Muammar Gaddafi)がクーデターで王制を倒してリビアの最高指導者になって42年、今回生きて拘束された次男(Saif al-Islam)を後継者にすると決めていた69才の独裁者は、自分が尊敬していたイラクの元独裁者Saddam Husseinと同じ運命をたどるのであろうか。まさに現代の平家物語だ。国際刑事裁判所(International Criminal Court)は6月、「人道に対する罪」の容疑でカダフィとその次男及び次男のおじ(Abdullah al-Sanussi)の3人に対して逮捕状を出しているので、何とか次男以外の二人も生け捕りにして国際刑事裁判にかけてほしいものだ。この3人を中心とする一般市民への攻撃は目に余るものがあり、反体制派どころか自分達に協力的でない者まで拷問・殺害・強姦などしており、被害者の一人である女性弁護士は殺される直前にNATO軍に助けられ隣国に逃れたが、カダフィを絶対に許さないとCNNテレビで語っていた。

カダフィの私設警護担当部隊も反体制派に降伏した。カダフィだけは「あの世に行っても戦う」と徹底抗戦の姿勢を示しているが、資金も尽きて補給路も反体制派に制圧されていて、味方がどんどん減っているのでもう長くは持たないであろう。砂漠に祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。緑の広場も久しからず、カダフィの宮殿(Bab al-Aziziya)は砂上の楼閣となる。