アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

フランコの40年とカダフィの40年

1936年~1975年の約40年に渡って独裁的にスペインを支配して82才で死んだフランコ(Francisco Franco)は100~200万人ともいわれる同胞スペイン人を殺した殺人集団のCEOであった点で、同様に42年の長きに渡り同胞リビア人を殺害してきたカダフィとその残虐性において共通点がある。2月に始まったリビア反政府運動においても、命令に従わない政府軍兵士を後ろ手に縛って並べ、頭を撃ち抜く処刑が各地で見られたというし、捕まえた反政府活動家の体を幾つにも切断する殺し方はカダフィの発案という。カダフィが去ったトリポリではカダフィ派による虐殺の現場が多数報道されているが、単に平和的デモをしていた市民らが捕らえられ虐殺後の死体を焼却されていた現場まで出てきた。過去にもリビアには改善を求める運動とか自由を求める小規模デモなどが発生していたが、カダフィはことごとくそのような人々を捕まえて全員虐殺してきた。反カダフィ派は既に全員殺されているから今生きているリビア人は全て親カダフィ派のはずというのは短絡過ぎる発想だ。人間は納得いかないことは短期間なら耐えることができても一生耐えるほど辛抱強いものではない。アメリカに連れてこられた奴隷がこのまま自分に未来がないとわかったら、命をかけて主人を一人でも殺してから自分が殺される方を選ぶ。死を覚悟したら奴隷でも一般市民でもまとめるとかなり大きな事をすることができる。今回のリビアで命を亡くしたリビア人は一万人どころか数万人に及ぶといわれる。従来からカダフィ独裁を受け入れていないワルファラ部族はカダフィ政権下で大量に殺されており、この部族は静かに生き延びるよりは戦って死ぬ方を選ぶ方がましと行動に出た。カダフィの出身部族であるカダドゥファ部族とカダフィの恩恵を受けた一部のザウィーア部族が最後までカダフィ支持派だが、この少数派が降参するのは時間の問題だろう。空軍は全てカダドゥファ部族で占めていたが国連による飛行禁止区域設定でカダフィ空軍の出る幕がなくなったからだ。8月28日にはカダフィの最強軍団(32nd Brigade)の指揮官であった七男Khamisが戦闘で殺害され、翌29日にはカダフィの妻Safiya、長男Muhammad、五男Hannibal、一人娘Aisha(34才、9月初め出産予定)及び孫たちを陸路アルジェリアに逃亡させた。イラクサダム・フセインも捕まる前に妻と子供を国外に脱出させていた。カダフィも自分が戦闘で殺されるか捕まるかは時間の問題と観念したのだろう。フランコカダフィも内戦で国内をぐちゃぐちゃにしたが、フランコは自分の死後のスペインを王制にしようと、死ぬ6年前から現国王(Juan Carlos)を皇太子に指名し、フランコ死後のスペインは一応国王のもとで民主政治を実現した。カダフィは自分の死後を次男(Saif al-Islam)にまかそうとしていたところがフランコから見れば若気の至りなのだろう。フランコ享年82才、カダフィ現在69才。