アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ギリシャ危機からユーロ危機

GDP約24兆円の国がEUIMFより昨年来既に27兆円の救済資金を受け取り、更に今後3年間で10兆円つぎ込んでもらって経済を立て直そうとしているのがギリシャだ。日本のGDP約500兆円として、我が国がIMFから750兆円ほどを救済資金として受取り国家の借金1,000兆円の返済資金に充てるようなものだ。ギリシャ経済の発展は、ユーロに加盟する資格がなかったのに、統計数字を改ざんした偽造資料を提出してうまいことユーロに加盟できたところから始まった。本来ならばユーロから追い出されてしかるべきだが、欧州各国はギリシャに対する対外債権を大量に抱えており、ギリシャ国債を大量に保有している銀行も各国にたくさんあることからその波及効果が強烈過ぎて追い出すに追い出せない。ギリシャを単なる債務不履行国としてしまうと各国の銀行・債権者の持っているギリシャ国債ギリシャの債権はゼロになってしまうから、3年前のLehman Brothersという一私企業の倒産以上の激震をもたらす。ギリシャの債務総額は約37兆円(GDP×160%)。もともと人件費の安い国だったのに、ユーロに加盟した2001年以降の人件費の上昇率は50%とドイツの同期間の7-8%に比べて異常に高すぎる。労働生産性が低いから人件費も低くてやっていけたのだが、人件費だけが高くなるとEU内で競争力はなくなる。自国通貨ドラクマなら42-43%ほど切り下げれば片付く問題だが共通の通貨ユーロではその自由がない。結果は16%の高失業率。ユーロに代わってから人件費が高騰したのはアイルランドポルトガルのほか、スペイン・イタリアも同じ。EU域内の経済規模でみると独仏が約51%、西伊が約32%。もしスペイン(四男)・イタリア(三男)が救済される側になると独仏の負担割合は約67%=全体の2/3にもなり、長男(独)・次男(仏)の負担が非現実的なほど重くなりすぎる。EUはEFSFという財政安定化基金にとりあえず4,400億ユーロ(45兆円)を拠出して対応しようとしているがいくらユーロ紙幣の供給を増やしてもユーロの価値が減るだけで焼け石に水だろう。独仏主導のEUギリシャに緊縮財政を強要するから公務員の大量解雇→国民生活の悪化→景気後退→税収減→債務危機の深刻化と「あり地獄」に陥る。脱税がおおはやりにも拘らず税務署職員も人員削減で国家収入は激減。もともとギリシャ人とかイタリア人のような国民にドイツ人のような思考をしてよく働き将来の貯えをすべきと説得するところに無理があるように思う。EUはさっさとギリシャにユーロ圏から出て行ってもらわないとPIIGS5か国の負担で残りの国の台所は破綻し勤勉な国民の蓄えは放蕩息子・娘たちに喰い荒されるであろう。