アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ケイマン諸島に消えた日本の年金資金

AIJ投資顧問の年金運用資産1830億円の大半がderivative等の損失で消えてなくなっていたことが発覚した。ほとんどを租税回避地として知られる英領ケイマン諸島(Cayman Islands)で運用していたとされる。人口42,000のケイマン諸島コロンブスが発見した西インド諸島にあり、最初はスペイン領だったが無敵艦隊が破れ西英間で1670年に英国領とすると合意した英国の海外領土の一つ。世界の富の約1/4を租税回避地が呑み込んでいるとの分析もあるくらい地球上の tax haven 諸国は世界のoffshore banking 金融センターとして機能しているが、犯罪収益金等の money laundering の温床でもある。一応合法的に金融業を行っているため日本の金融庁も鼻から疑ってかかるわけにいかず、今回のように事件が発覚してから業務停止命令を出すしかできなかったのだろう。AIJ投資顧問は自社の運用するファンドが2009年から2011にかけて3年連続で5%~10%の年間利回りを達成したと主張していたが、同時期、3年連続でプラスの収益を上げていた日本の投資運用会社はほとんどなかったというから、虚偽の報告であると見破っていた同業者も多いという。米国の格付投資情報センターR&Iなどは2009年時点で既に顧客向けニュースレターの中で、市場が落ち込んでいるにも拘らず、AIJの運用利回りは不自然に安定しており、米国史上最大の巨額金融詐欺事件(実体はネズミ講、被害額5兆円以上)の犯人Bernard Madoff(前年の2008年逮捕、禁固150年の刑で服役中)の匂いがすると警告していた。この道のプロは早くから不正を見破っていたことになる。我が国の金融庁は遅ればせながら国内投資顧問会社全263社の一斉調査をすると発表したところだが、オリンパスが13年間に渡って約1200億円以上の損失を隠してきたことも分からなかったのだから、金融庁もR&Iのようなこの道のプロに来てもらい相当の権限を与えて常に独自の調査をした方がいいのではないか。一時の日産がルノーのコストカッターに来てもらい立て直したように。