アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

カタルニア国は実現するか

昨日スペイン最強の州カタルニアでスペインからの独立の方向を決める州議会議員選挙がおこなわれた。投票率史上最高の69.5%というから住民の関心は極めて高い。独立すれば人口740万人、GDP 2,000兆ユーロの大国であり、EU 27カ国中人口で17位、GDPで15位の大国になるところだ。選挙結果は、カタルニア独立推進派4党で議席135のうち87を勝ち取り、過半数ではあっても2/3に3議席不足となったから、すぐに分離独立とはならない。しかし2010年州会議で既に1州4県(provincias)の現行制度を1州7県(vegueries)に変更すると勝手に決めている。4県制度はスペイン支配の象徴だからという理由だ。

もともと州議会議員任期半ばで与党のカタルニア同盟(Convergencia y Union)をひきいる州大統領Artur Masは自分の政党議員を大幅に増やしてカタルニアの分離独立を主導しようとしたものだが、逆に自分の政党は20%減となり、責任を取らされそうになっている。しかし独立強硬派のカタルーニャ左翼共和党(ERC Cat Sí)など他の独立推進派3党で順調に議席を伸ばし全議席の2/3に近い所まで躍進した。スペイン国の大統領Mariano Rajoyの与党人民党(Partido Popular)はカタルニア州議会ではわずかに19議席(14%)だからカタルニアでは影が薄い。

カタルニアがスペインに対して持つ不満はドイツがユーロ加盟国に対して抱く不満と共通するものがある。なぜドイツが訳もなくギリシャの債務のしりぬぐいをしなければならないのかという感じで、カタルニアは中央政府からの恩恵よりも支払う税金のほうが多いと感じている。

カタルニアの公用語スペイン語とカタルニア語だが、分離独立派はついでにスペイン語公用語を廃止してカタルニア語のみに統一せよと主張する。カタルニア人にとってはそれでいいのかもしれないがスペイン語を廃止されると州外から引っ越してくるスペイン人には大変な迷惑だ。マドリードからバルセローナに転勤で来た人など、子供は学校でカタルニア語がわからないといじめられるし、家族も言葉があまりにも違うのですぐに嫌になってしまい、結局お父さんだけが単身赴任になってしまう。フランコの時代禁止されていた言葉だから尚更極端に走って、カタルニア語一色になってしまったのかもしれないが、我々外国人にとってカタルニア語主流の現状でもかなり不便だ。はるばる出席した結婚式での発言も100%カタルニア語だったから、スペイン語で説明してもらわないとさっぱりわからない。

今は独立しようとすまいと経済的にはかなり厳しい時世であることは間違いない。政治家が若者の雇用増などの対策に力を入れるなど早急な現実的対応を求められている時に、州の分離独立を争点に住民を分断したところで明るい未来はないだろう。ユーゴスラビアを解体して6カ国(コソボ自治州も含めると7カ国)に分断したが、以前より良くなったと感じている人はどれほどいるだろう。