アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

Obama勝利でObamacare安泰

現職の米国大統領Barack Obamaが2010年3月ようやく成立させた医療保険改革法=Patient Protection and Affordable Care Act(PPACA= Obamacare)を、自分が大統領に当選したら大統領就任初日に撤廃すると公約していた対抗馬のMitt Romneyが7日敗北演説を行った。今回の大統領選挙は、一般の投票ベースではわずかな差だったが、選挙対策に勝っていた現職の強みからか選挙人獲得数は約2:3と大差で負けた。意外だったのはRomneyがモルモン教徒であるにもかかわらず、投票者の半数近くがこのモルモン教徒に投票した事実だ。個人的信仰と政治の手腕は別と割り切ることができるアメリカ人ならではの選挙結果だと思う。ならば将来、イスラム教徒の大統領が現れる日が来るかもしれない。

Obamacareが完全実施される2014年時点では、現在4,700万人いるといわれる無保険者が理論上いなくなるはずだ。米国の医療保険は原則民間の医療保険だ。米国の医療費は極めて高いので、医療保険の掛け金も当然高くなる。会社員などは勤めている会社がまとめて医療保険に加入しているので問題はない。富裕層も民間の保険に加入するから問題ない。メディケイド(Medicaid)・メディケア(Medicare)という公的医療保険のある人も政府が保険に加入してくれるようなもので問題ない。Medicaidとは低所得者身体障害者向け医療保険、Medicareとは65才以上の高齢者・障害者向け公的医療保険だ。

自営業者で低所得者の範疇に入らない一定額以上の収入があると、公的医療保険受給資格が得られない。一定額の金額をわずかでも超える個人事業者等及びその家族で、掛け金が高すぎて民間の医療保険に加入できない人口が4,700万人ほどになるのだそうだ。しかも民間の保険は、持病がある等の人の掛け金を殊更に高くするから、ますます保険に加入することができなくなる。民間の保険に加入していても一度大きな病気や事故で入院すると、2ヶ月ぐらいで保険を切られ、入院料(一日平均3,000泡24万円)を払えなくなると病院から追い出される。

Obamacareはこのような中間所得層の医療弱者を救済する国民皆保険制度だ。歴史的にみればBarack Obamaの最初の4年で成し遂げた最大の功績だろう。Obamacareの各種規定のうち、個人加入義務付け(違反時の罰金賦課)、既往症による差別禁止などの規定は2014年に実施される。今回の大統領選挙でBarack Obamaが再選されたということはObamacareが米国の歴史に国民皆保険制度が定着すると確定したことを意味する。4年後に誰が大統領になろうとも歴史を元に戻してObamacareを撤廃することはできなくなる。Romneyが負けて本当によかった。