アミのひとり言

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第265代ローマ法王引責辞任

第265代ローマ法王Benedict XVIが今月限りで生前引退すると発表した。表向きは85才の高齢につき、神に託された任務を遂行する健康がないという理由だが、実はローマ・カトリック教会聖職者(全員男)に蔓延するセックス・スキャンダルを法王になる前から自分がもみ消していた過去が暴かれ、にっちもさっちもいかなくなったのが実態のようだ。

カトリック教会の聖職者は、神と結婚するのであり、女性と結婚するなど、世俗的なことはしないし、許されない。実は、元々は聖職者も結婚していたのが、1139年4月の“Concilio Lateranense II”(第二ラテラノ公会議、Il matrimonio dei preti e dei religiosi è dichiarato invalido e non più solo illecito. = 聖職者と修道者の婚姻は違法のみならず無効)により正式に禁止となった。しかし、実体はルネッサンスの頃のローマ法王も聖職者も妾を抱えていたし、修道院の中に神父と修道女がいるから市役所に婚姻届を出さないだけのこと、プロのお祈りによりその私生児にも祝福が与えられた。ルネッサンス期の高名な画家Filippino Lippiがこれまた有名なFilippo Lippiという神父兼画家の子であることは周知の事実だ。Filippinoの母は、父Filippo神父が修道院から拉致した美人修道女Lucrezia Butiであることも歴史書に記載ある。

しかし、一人の神父と一人の修道女が神の特別の許しを得て付き合うならまだしも、何十年・何百年も前から起こっている教会のセックス・スキャンダルは、神父による未成年の信者(大多数は女性)多数に性的暴力をふるう(強姦する)というあるまじき事件だ。聖職者による性的虐待の告発文書は、世界23カ国からヴァチカンに届いており、米英等では多数の訴訟に発展、米国の教会だけで既に推定30億ドル(2,800億円)にのぼる慰謝料を支払ったと報告されている(Bishop Accountabilityの情報)。明らかに神父や宣教師によるパワハラ(power harassment)であり、オリンピック金メダリストの柔道監督が女子学生に対するのと同様、自分の神聖な立場を利用して幼い女性信者や修道女に性的関係を迫り、レイプに及んで告発される。

第265代ローマ法王は、法王に選ばれる前の枢機卿の時代、法王庁で倫理委員会(Congregation for the Doctrine of the Faith = 信仰教理省)の最高責任者・長官だったが、教会の名声を守るため、事件が公表されるのを恐れ、隠密に慰謝料で解決するよう指導してきた急先鋒だ。現法王がドイツMünchen司教区の大司教時代も、聖職者による性的暴行被害者が300人以上報告されていたが、全て彼が事件を隠蔽したとして、ドイツではカトリック離れが起きている。なんと加害者には、現法王の実兄(当時Regensburg聖歌隊の指揮者)も含まれている。カトリック教会は900年前の第二ラテラノ公会議を見直し、聖職者・修道者の婚姻を容認する方向に進むべきではないか。悪徳ローマ法王お一人の引責辞任で解決する問題ではない。法王のためでも聖職者のためでもなく、聖職者による性的暴力被害者をなくすため、今こそ神はカトリック聖職者独身制廃止をお望みなのではなかろうか。