アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

スポーツ指導と暴力

柔道女子日本代表選手15名が連名で監督(園田隆二)の暴力を訴えた事件から、日本各地の強豪といわれる高校体育部で発生していることが明るみに出ている顧問による暴力事件まで、我が国の体育会系運動部はヤクザに支配されているような様相を呈している。ヤクザがのさばっていれば、警察が出るか裁判官が出るかしなければ問題は解決しないのは当たり前。全日本柔道連盟は以前から監督の暴力行為を把握していたが黙認してきており、今回女子選手15名から告訴されてもなお暴力監督を続投させると公言したため、この非常識ぶりが国際柔道連盟会長Marius Vizer氏から「我々が学んだ柔道の精神や哲学と、全くかけ離れたものだ」と強烈に非難されるにおよび、ついに件の監督は辞任することになった。全柔連として暴力監督の辞任を認める前になぜ解雇しなかったのか、このスポーツ業界の人間はスポーツ以外何も知らない生物であることを世に示したようなものだ。

日本のお家芸柔道に相当する米国のスピードスケート、昨年8月ここでも同様の暴力事件が発生している。
冬季五輪で最も多くのメダルを自国にもたらしているスピードスケートだが、この代表チーム監督(Jae-Su Chun)は選手を壁にたたき付け繰り返し殴打したり、瓶やイスを投げつけたり、はたまた女性選手には「デブ」「気持ち悪い」等の暴言を吐いたとして、5名のオリンピックメダリストを含む合計19名の選手が同監督を米国スピードスケート連盟及び米国オリンピック委員会に告発したのだ。その内の選手二人は警察に被害届も出していた。

日本オリンピック委員会は「全柔連に解決能力がある」として調査を全柔連に差し戻したが、米国オリンピック委員会はスピードスケート連盟ではなく第三者委員会(White & Case法律事務所)に再調査を依頼し、同時に、告訴された時点ですぐにこの暴力監督を指導の現場から外した。そして第三者委員会は告訴から2ヶ月で結論を出したから、スピードスケート連盟は同監督に、2014年2月までの職務停止処分を科し、彼は辞任を余儀なくされている。守るべきは選手であり監督でないという明らかな哲学がある。わが国の全柔連は守るべきは監督であり、選手は奴隷扱いとでも思っているのではないか。奴隷ならサーカスの猛獣のごとく鞭を使うのも許されるのだろう。

日本各地の強豪といわれる高校体育部で発生している顧問による暴力事件についても、文科省教育委員会に再調査をさせているが、学校の現場と教委は人事交流もあり一心同体の関係にあり、自浄能力がないことは初めから分かっている。今回のオリンピック強化女子選手の暴力監督問題からついに文科省も第三者機関設置の検討を始めた。暴力を使ってしか指導できない者を「監督」とは言わない。我々は単に現役時代スポーツが強かった者を監督にするのではなく、人格を備えた指導者を監督にしなければならないだろう。