アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ロシヤの国策ドーピング

リオ・オリンピックで、ロシアはメダルを56個勝ち取り、メダル獲得数は米中英に次ぎ世界第4位となった。その前の2012年ロンドン・オリンピックでは、メダル82個(金24個含む)で、米中に次ぎ世界第3位の成績、しかし、その後のドーピング検査で10人のメダリストはメダルを剥奪された。これで終わりかと思いきや、今回発表された144ページに及ぶWADA(世界反Doping機関)2回報告書で、更に15人分のメダルが剥奪される。
 
一方、2014年ソチ・オリンピックで、メダル33個(金13個含む)を勝ち取ったロシアは世界第1位の成績、しかし、今回のWADA2回報告書で1215個のメダルがドーピングにより剥奪されることになる。この中には金メダルを4個取った二人も含まれる。ソチ・メダルが33個から18個に減ると、ロシアのメダル順位は6位になる。世界6位の実力の国が、国策ドーピングにより1位と偽っていたのだから、他の参加者にとっては、はらわたが煮えくり返る思いだろう。こいつらのせいで表彰台に上がれなかった選手、表彰台の場所が違った選手、言い渡された順位が実力以下だった選手がいるのだから、後で修正されても怒りが収まるものではない。ソチ・パラリンピックでロシアが獲得したメダルのうち6個がドーピング違反と確認された。
 
リオ五輪の前(7月)に発表されたWADA1回報告書で、ロシアの国家的ドーピングの実態が暴かれていたが、IOCはその報告書を100%信用しようとせず、再度の詳しい調査をWADAの独立調査チームのMcLaren委員長(カナダ人大学教授、法学部、71才)に命じていた。今回発表になった第2報告書では、ロシアの組織的ドーピングの実態がもっと徹底した国家ぐるみの隠蔽行為であったことが暴露され、2011年から2015年までのオリンピック(2012年ロンドン、2014年ソチ)や国際大会で合計1,000人以上のロシア人選手がドーピングに関与していたと断定した。
 
ドーピング隠蔽行為の主な手段は尿検体のすり替えだ。尿検体の入ったボトルは開けられないようになっていたが、特殊な道具で開けた形跡が確認された。違反薬物を使用していない時に採尿した本人の検体とすり替えたばかりではなく、他人の検体とすり替えたものも見つかり、アイスホッケー女子選手二人の尿からは男のDNAも見つかっている。尿の中に通常あり得ないほどの割合の塩が含まれていた検体とか、ありえない割合のカフェインが含まれた検体も見つかったという。
 
本来、ドーピングを検査する権限のあるWADAは、オリンピックを実行する組織体・IOCから独立していなければならないが、WADAの委員長Craig ReedieIOC副会長でもあり、言ってみれば、独占禁止法を規制する公正取引委員会の委員長が経団連副会長を兼務しているようなものだ。WADA1回報告書でも、今回の報告の概要は証明されていて、McLaren調査チーム委員長はリオからロシアを全面的に締め出せと主張していたにもかかわらず、IOCは部分的にロシアの参加を認めた。ドーピングの技術は、単に検体の瓶の蓋の開け方に限らず、WADAの検査法で検知しにくい血液ドーピング(自分の血液を競技の直前に再輸血する)とか遺伝子ドーピング選手自身の遺伝子を組み換える)などに進化しており、ハイテクのイタチごっこのようだ。