スポーツを通じて人を教育すべき大学で、ヤクザのような組織犯罪が正々堂々と行われていたことが明らかになった。日大と関学のアメフト定期試合(5月6日、東京・調布市)で、日大選手が監督に反則行為を指示され、試合に出たいがために、指示通り危険タックルを実行したのだ。被害にあった関西学院の選手は全治3週間のけが、大阪市議で、自身も元アメフト選手だった父親と共に、加害者側の日大監督の責任を追及すべく警察に被害届を出した。これから告訴状も提出すべきだろう。
加害者である日大選手が、昨日、謝罪の記者会見を行い、反則行為は内田監督(62才)・井上コーチ(30才)の指示に基づいたものとばらし、20才の大人として自分はやるべきではなかったと猛反省、深々と謝罪した。この問題が起こってすぐに日大教職員組合(各学部・キャンパスの責任者合同)は、大学理事長・学長宛てに声明文を出し、大学の人事担当常務理事(学長に次ぐNo.2)でもあり絶大な権力を持つ監督の責任を追及するとともに、真相究明を第三者機関に委ね、大学の社会的信用回復を図るべきと訴えた。
強豪関学のクオーターバック(QB)さえけがで出場できなくなれば試合は有利に進められるから、お前はそれだけを狙えとコーチに指示され、真面目な選手はその通りのラフプレーをした。しかし関学のQB被害者が、第2・第3腰椎棘間(キョクカン)じん帯損傷で全治3週間と知って、日大選手は大いに反省し、もう二度と人生でアメフトをしないと決心したのだそうだ。にもかかわらず、監督・コーチは自分たちの「指示」を潔く認めず、自分たちの「指示」と選手の「理解」に乖離があったなどと、自分たちの責任を否定するかのような言い訳をする。日大理事会には自浄作用が全く働かないということを証明した。日本大学とは、監督辞任だけで言語道断な暴力的行為を片付けようとする教育機関であると公言するようなものだ。
フェアプレイ精神を持ちあわせない監督のもとに指導される選手が、日大で学ぶものは何もないだろう。日大は全学的に上意下達の体質が根付いており、問題の監督兼常務理事をはじめ上層部の人事一新をせよと日大教職員組合は要求している。関学からの抗議文に対して、日大の回答書には「意図的な乱暴行為を行うこと等を選手へ教えることは全くございません」と正々堂々と虚偽の説明をしたが、関学側は誠意がみられないと納得せず、再回答を要求している。