アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

やめられないロシアの組織的ドーピング

 15才のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア、女子figure個人4位)は、今回の北京冬季五輪に大きな問題を残して早々と帰国した。昨年末のロシア・欧州figure skating championshipの優勝者だが、12月25日に採取した検体から、違法薬物Trimetazidine(トリメタジディン)が見つかったのだ。血管を広げて血流を増すため持久力を向上する薬物なので、空中で4回転して着氷するにはもってこいだ。少なくともこの薬を服用しない選手よりは優位に立てる。

 

 15才Valievaが出場した2月7日の女子団体戦で、ROC(Russian Olympic Committeeロシア人選手団体)が金メダルを取ったが、その結果が出た後で違法薬物陽性の結果が出た。WADA(World Anti- Doping Association)で使用禁止されている500種余りの薬物が一つでも見つかった場合、普通は4年間の出場禁止、入賞していても地位剥奪の処分がされるところ、16才以下の未成年は、最長2年間の出場停止以下の処分となる。Figure団体女子の銀メダルは米国、銅メダルは日本、4位はカナダとなったが、本来ならば、ROCは失格となり、米国金メダル、日本銀メダル、カナダ銅メダルに訂正すべきだ。しかし、WADAの最終結論がまだ出ていないので、メダルは確定せず、IOCはメダル授与式もしない。4年間命がけで練習してきた選手の努力や苦労を考えると、これはあまりにも残酷だ。

 

 ロシアの国家公認ドーピングは、2014年ソチ冬季五輪当時のRUSADA(Russian Anti-Doping Association)所長Grigory Rodchenkov(グリゴリー・ロドチェンコフ)による内部告発で暴露された。彼は、ドーピングはPutinの指示だと亡命先の米国で明らかにした。この習慣は15才ValievaのコーチであるEteri Tutberidze(エテリ・トゥトベリーゼ、47才)が2008年コーチになって以来実践してきたもので、10代の成長過程にある若者に処方して実力以上の成績を出させてきた。但し、10代を過ぎるとこの手は使えない。だからこのコーチのもとでメダルを獲得する選手は、すべて10代の少女に決まっている。いわば児童虐待であり、薬物の悪影響は彼女らの人生に最後まで付きまとう。

 

 Eteri鬼婆コーチは、2019年、ロシア大衆紙のinterviewの中で、「(2016年に禁止薬物に指定された)Meldoniumに代わる新薬を探している」と語っており、2014年ソチ五輪では、正々堂々とこの薬物を選手に使っていたことを認めている。15才Valievaの検体から出たTrimetazidineは、2014年禁止薬物に指定されており、Meldoniumもほぼ同じ狭心症の薬で同じ持久力を向上する効果がある。未成年がドーピングをやる場合、必ずコーチなど関係者の指示のもとに行われることは、過去の例からわかっており、IOCはこれからEteriコーチや引率の医者(2007~2010年anti-doping違反で資格停止、その後復活)などの聞き取り調査を始めることになる。

 

 15才Valieva側は、Trimetazidineが見つかった経緯について、人工心臓の祖父が使っていたグラスで水を飲んだと苦しい言い訳をしているが、この言い訳をしているのは代理人の「法律専門家」というから、選手に処方して、ばれたらどのような説明をすべきか、周りの関係者たちがすべて仕組んでいることは、火を見るより明らかだ。