アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ついに小学3年から英語教育だが

教育再生実行会議の答申を受けて文部科学省は小学3年から英語を教えることに決定した。2020年度からというから7年後だ。教員の確保など準備が大変なのだろうが、現在5年生からやっている外国語活動を3年生に前倒しするのに7年もかかるなら、今1才の子どもが3年生になってやっと英語に触れることになる。今2才以上の子どもは新制度の恩恵を受けることはなく、これでは国際化の速度に追いつかないだろう。EUの英語劣等生スペインの現状を調べてみた。

EUの中でスペインは学生の英語の水準が低いので有名だ。2010年の統計で当時の加盟国27カ国のうち外国語習得度でスペインは23位だった。スペインより低い国にはハンガリーブルガリアルーマニアなどがある。隣の小国ポルトガルもスペインより上位である。もともと歴史的経緯からスペインで外国語とはフランス語だったせいもあって、第一外国語に英語を導入したのは1970年代末だ。小学低学年から英語を習って、ある程度英語が話せる大学生は1/4というから、スペイン人は英語が下手という評価になる。なぜスペイン人は英語が下手なのか、スペインの教育者が研究した資料がある。
(Mr. José Luis Romero Lacal) http://www.csi-csif.es/andalucia/modules/mod_ense/revista/pdf/Numero_41/JOSE_LUIS_ROMERO%20LACAL_1.pdf

スペイン人が小学校から英語を習い始めている割には上達しない原因として、以下分析している。
(1) 英語のクラスに生徒が平均35人もいる。EU平均は20人以下。一人の教師が35人の生徒に教えるのは不可能。
(2) 話す英語を習得していない英語教師が主に文法・読解・筆記を中心に教えている。
(3) 授業は英語ですべきところほとんどの教師はスペイン語で行っている。(他のEU諸国では、自国語で英語を教えていない。)
(4) テレビの映画も映画館の映画もほとんどがスペイン語に吹き替えられているので、英語の原語のままの映画が身近にない。英語習得度の上位にあるドイツ、ベネルックスなどでは英語の映画は字幕で翻訳を見るだけで、英語を聴く環境が整っている。
(5) castellanizar(英語でもスペイン語風に発音する)の文化が広く受け入れられている。英国人のようなアクセントで英語を話す者は、きざな奴として馬鹿にする風潮があるからだ。

そして、この状態を解消するための提言として以下あげている。
(1) 英語の勉強を小学校6-7才で始めるのは遅すぎ。外国語の習得は0-5才で始めるのが最適。
(2) 新人教師には1年以上の英語圏留学を義務付ける。現役の教師は夏休み1ヶ月の英語圏での研修を受けさせる。
(3) 英語を母国語とする国の生徒と定期的に交流をさせる。(派遣留学及び留学受入)
(4) 子ども用アニメは英語にする。(スペイン語の字幕でよい)

我が国の小学校英語教科化に当たっていくらか参考になるのではないか。