アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

85人の資産=23億人の全財産

今月21日~25日の間、スイスDavosにおいてWorld Economic Forum(通称「Davos会議」)が開催されている。世界の経済と政治の世界に影響力のある人たちが集まって、この人間の社会をどのように改善すべきか議論する。現在の最大の経済問題は、まぎれもなく経済格差だ。持てる者と持たざる者の格差が余りにも大きくなりすぎた。世界の貧困問題に取り組んでいるNGO “OXFAM”(元はOxford Famine Reliefという国際飢餓救済団体)によれば、今のDavos会議で、世界の政治・経済界の指導者達に、一部の超富裕層と持たざる大多数の格差がますます拡大している現状を訴え、早急に是正するよう強く求めると言う。

Forbesが毎年公表している、世界の億万長者リスト(“billionaires”というから、厳密には十億ドル長者=千億円長者)には、この範疇に入る1,426人が載っている。昨年3月末時点の調査によると、世界一の億万長者はメキシコの実業家Carlos Slim(73才)で総資産$730億≒7.3兆円、第二位は米国MicrosoftのBill Gates(58才)で総資産$670億≒6.7兆円、第三位はスペインZaraのAmancio Ortega(77才)、第四位は米国の投資家Berkshire HathawayのWarren Buffett(83才)で総資産$535億≒5.4兆円と続く。この4人に始まる上位85人の総資産は、昨年3月末時点で$1兆7,180億≒172兆円。これは世界の成人人口46億人を上位半分と下位半分に分けた時の下位半分に相当する約23億人の総資産に相当するという。富の偏在が極限まで進んでしまったのだ。

OXFAMによると、世界の富裕層上位1%の総資産は$110兆で、これは全成人46億人の持つ総資産額$241兆の46%に相当する。要するに1%強の富裕層が持つ資産と、残り約99%の成人の資産がほぼ同じだという。米国においても、中産階級の人口が激減して、ごく一部の富裕層と大勢の貧困層に分かれてしまっている。

OXFAMは、この不均衡な富の移転を図るには、累進課税を強化し、労働者の賃金上昇を促進し、租税回避地(tax haven)を利用した税金逃れを違法化する(規制緩和を改める)ことが喫緊の課題であると主張する。世界の富裕層上位100人の総資産は昨年3月末の$1兆8,853億から9月末の時点で、平均7-8%増加したと推定されているから、$2兆≒200兆円を超えている。平均年齢68才の富裕層様たちがあと30年生きるとして、その間に各自2兆円使わなければならないとすると、毎日1.8億円使わなければならないことになる。一日を三回に分け、午前・午後・夜とそれぞれ6,000万円ずつ使ってしまわないと、この世では到底使いきれない金額だ。国家は富裕層に正当に課税し、持たざる者に富を分配すべきなのだ。

*28日発表の米大統領一般教書演説(State of the Union address)の中で、Obama大統領は中間層の底上げ、格差是正を目指し、政府機関契約職員の最低賃金を現行(時給$7.25≒725円)の40%増の$10.10(≒1,000円)にすると発表した。2012年までの4年間で増えた所得の95%は上位1%の富裕層が得ただけで、経済格差は極限まで広まっている。今や米国の年収上位10%が、総所得の50%を占めるほど貧困層のすそ野が広がってしまったという。