アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ミドリムシで輝く未来の燃料

動物と植物の両方の特徴をもったミドリムシ植物(微細藻)、体長0.05mmの小さな微生物(藻の一種)の体に秘められた無限の可能性に、人間の社会が救われる時代が来る可能性が高い。資本金約48億円の株式会社ユーグレナは、東大農学部卒の研究者などが集まって2005年に作った会社で、ミドリムシ由来のバイオ燃料量産を目指している。2012年末、東証マザーズに上場、無配ながら時価総額はざっと1,060億円、市場は早くもバイオ燃料量産実現が近いと評価している。
 
地球上に生命が誕生したとされるのは今から38-39億年前、最初の生物は原核生物といって、細胞核を持たない細菌だ。その後、10億年以上の歳月をかけて、原核生物細胞核を持つ真核生物に進化し、更に十数億年の歳月を経た、今から5-6億年前には最初の脊椎動物が地上に出現したが、同じころミドリムシ植物が地上に現れたのだという
 
このワカメやコンブの親戚である小さな生き物は、太陽光と水、二酸化炭素だけで育つ。ミドリムシは、いわゆる光合成二酸化炭素を炭水化物等に固定化して酸素を作る)によって二酸化炭素を固定して成長する時、体内に油脂を生成する、この油脂を抽出・精製するとバイオ燃料になる。飛行機用のジェット燃料をはじめ、ガソリン燃料、ディーゼル燃料など、石油代替燃料として広く利用できる。株式会社ユーグレナは、既にミドリムシの大量培養の技術を確立しており、これから解決すべき問題は製造原価を下げること。現在1リットル当たり500600円ほどかかる原価を石油系燃料と同程度に下げなければ、いくら環境に優しい、石油が枯渇しても未来永劫使えるといっても、本当に石油が枯渇してしまうまで本格的に売れにくいという問題がある。
 
ただ、技術革新の速度は極めて速い。先月からは、いすゞ自動車が、同社藤沢工場~湘南台駅間で、122往復、ミドリムシ由来のバイオディーゼル燃料を1%ほど混ぜた燃料を使ってシャトルバスの運行を開始した。3カ月ごとに生産を2倍に増やすことができると仮定すると、20カ月でバイオディーゼル100%でまかなえることになる。JX日鉱日石エネルギー・日立製作所ユーグレナの三社は、航空機向けジェット燃料を開発中だ。2018年までに量産の技術確立、2020年の事業化を目指しているというから、技術革新の速度は3カ月で2倍どころではない。
 
人間の髪の毛の太さは約0.07mm、重量では約180 meter1 gramほどだ。体長が髪の毛の太さよりも短い0.05mmの小さな生物が、光合成によって体内に油脂を作るといっても、その量は目に入ってもわからない程度のほんのわずか。1リットルのバイオ軽油を作ろうとしたら数億個のミドリムシが必要となる。1週間で1,000個のクローンを作るミドリムシがあるというから、3週間で10億個に増える。その油を加工して軽油と同じ分子構造のバイオ軽油を作る。
 
ミドリムシは畑を必要とせず、淡水で育つ。トウモロコシ由来のバイオ燃料と違って、食料価格と競合しない夢の燃料になる。いつの日か、全ての燃料はミドリムシ由来となり、地下資源を燃やしてCO2を排出することは禁止されるかもしれない。