アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ネクタイ姿のサッカーマフィア

FIFAの常識がFBI大規模捜査の対象になった。ワールドカップ開催地決定、試合の放映権、スポンサー決定などでFIFA幹部が長年にわたって巨額のわいろを受け取っていたのだ。その私的組織の頂点に立つ男がスイス人Sepp Blatter79才)。1998年から17年の間FIFA会長職にあり、副会長以下の幹部がどんな悪事を働いてきたか「知らなかった」ではすまない。FBIがこれまでに押収した資料では、FIFA幹部が受け取った不正な金は、1991年からの24年間で、$1.5億(185億円)に上る。Blatterが前任のJoão Havelangeから会長職を引き継いだ時点でも、既に巨額わいろの常識はあった訳で、彼が会長になってからは、要求する金額が更に巨大化したというだけだ。
 
BlatterFIFA前会長João Havelange(ブラジル人、99才)の秘書(後、事務局長)を17年務めて、彼の後任の会長に選ばれたから、ワールドサッカーから甘い蜜の吸い上げ方を直接伝授してもらっている。Havelangeは、FIFA会長24年の間に、$5,000万(60億円)をくだらないわいろを受け取ったと英国の記者(Scotland Andrew Jennings)が本(Foul!The Secret World of FIFA: Bribes, Vote-Rigging and Ticket Scandals)まで出版して追及したが、FIFA本部のあるスイスは、当時、個人情報を開示せず、捜査、逮捕に至らなかった。
 
527日、チュリッヒでFIFA会長選挙に来ていたFIFA幹部8人(うち二人は現役のFIFA副会長)を含む関係者14人が、米FBIとスイスの警察により突然逮捕された。FBIの執念の捜査の結果であり、証拠は充分すぎるほど固めてある。北中米サッカー連盟(CONCACAF)事務局長であった米国人Chuck Blazerがわいろ収入の脱税容疑で逮捕された際、自分の罪を軽くしてもらう見返りにFIFA幹部のわいろの実態の証拠を出すと司法取引をしたからだ。書類だけでなく、会話を極秘に録音して実際にFBIに提供していた。捕まって司法取引をし、内部情報をFBIに提供した者の中には、今回電撃逮捕されたFIFA元副会長Jack Warner(国籍Trinidad & Tobago)の二人の息子もいる。父親達の犯罪の証拠をFBIに提供して、自分達の罪を軽減してもらうためだ。
 
サッカーの甘い汁を吸って優雅な仮の生活をしていたところ、突然逮捕された8人の不運なFIFA幹部の国籍は多様だ。二人の副会長の国籍はUruguayといかにも怪しいCayman、元副会長はTrinidad & Tobago、その他BrasilCosta RicaVenezuelaNicaraguaCaymanとなっている。先に捕まって司法取引した幹部が提供した情報から、今回の逮捕はこのメンバーになったが、彼らが懲役20年をいくらかでも軽減してもらおうとすると、最高幹部である会長Blatterに関する証拠を提出しなければならない。Blatterも会長選勝利の記者会見で「もっと悪い話が出てくる恐れがある」と正直にしゃべっている。彼の逮捕は時間の問題だろう。