アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

大量の難民にあわてるEU

中東やアフリカから船で地中海を超えてEUに渡った難民は、今年に入って既に30万人を超えている。去年の2倍以上になる見込みだ。約20万人がギリシャ、約11万人がイタリアに上陸している。そのうえ、最近急増しているのは、シリアから陸路ハンガリー経由ドイツを目指す難民だ。1日で7,0008,000人がドイツに入国している。シリアには独裁者Bashar al-Assadが未だに居座っており、この無慈悲・無能の大統領がいるおかげでIslamic Stateがやりたい放題の無法を犯している。Assad 側は化学兵器を使って敵対する国民を殺害し、ISは自分たちの味方でなければ人にあらずとの論理で、いつの間にやら家族・親戚が拉致され、やむなく必死の思いで母国から逃れてきた人たちが、難民としてドイツに逃れてきているのだ。
 
ドイツは難民に寛容な政策をとっているので、彼らはドイツに向かう。ドイツには充実した保護制度があり、住まいや食事が無料で提供されるほか、生活費(一人月額€335=4.5万円)も支給される。過去、ドイツはユダヤ人を迫害して多くの難民を出した苦い経験があり、罪滅ぼしに作った制度らしい。ドイツ政府は年間50万人を受け入れる用意があると公言している。
 
なぜこのような大量の難民が発生したのか、Assad政権に対する抗議行動が始まった頃から、一貫してこの独裁者を支持してきた中露の外交政策が背景にある。更に、米国はシリアの独裁者を避難はしてきたが軍事力は使ってこなかった。EU各国もイラクHussein政権を倒した時のように軍事行動はとらず、口先介入だけで「対岸の火事」とみていた。Assadがシリア国内で弱体化するにつれて、ISが力を増し支配地域を広げていったため、今やシリアは半分Assad、半分ISとなり、一般の市民の住む地域がなくなったから、やむなく地上の楽園ドイツを目指して、これだけ多くの難民がEUに来るのだ。ロシアは未だにAssadに対する武器援助を継続しており、難民がEUに流れても自国に影響がないと思っているどころか、ロシアに経済制裁を課しているEUが難民で苦しむ姿を喜んで眺めているという風潮がある。
 
現在の大量難民問題は、米欧のAssad政権に対する初期対応が、傍観者の対応であったことに起因することは間違いない。イラクHusseinを攻撃したように、最初からAssadを倒しておけば、ISがここまでのさばることもなかっただろうし、今頃こんなに大量の難民がEUになだれ込む事態も起こらなかったはずだ。あれだけAssad化学兵器使用の証拠がありながら、米国が空爆を始めたのは昨年9月だ。フランスもここにきてシリア空爆に参加すると表明したところだが、いかにものんびりしすぎだ。足元に火の手が及んでから消防車を手配するようなもの。
 
シリアではAssadISも共につぶさなければ難民の数は果てしなく増える。内戦前のシリアの人口は2,300万人だったが既に400万人が国外で避難している。シリア国内で避難生活をしている人は760万人。ドイツがたとえ500万人受け入れてもまだ足りない。難民を増やさないように一刻も早くAssadISを殲滅する必要がある。