アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

イチローに贈るお言葉

 ついにイチローが米大リーグでヒット3,000本を達成した。1897年に米史上初の3,000本安打を達成したCap Ansonから数えて30人目、4年に一度しか現れることのない野球の名人というか神様扱いだ。日本で言えば相撲の横綱に相当するのだろう。この記録だけで野球の殿堂(Hall of Fame)に入る資格充分という。イチローの場合はほかにもいろんな記録を持っているので、たとえ3,000本安打がなかったとしても殿堂入りは間違いなかっただろうと思われるが。
 
時速150kmと目にもとまらぬ速さで飛んでくるボールで、しかも上下左右どちらの方向にカーブしてくるか視覚で感知不能のボールを、全部正しく見当付けて打ち返すのは人間にはできない。それで、平均打率を基に誰が神業に一番近い打者か判断するしかない。3,000-hit clubのメンバー30人の実績を比較すると、1921年に3,000本安打を達成したTy Cobbという選手(1928年引退時の記録は4,191本、歴代2位)の通算平均打率0.367が最も高い。Ty Cobb選手が一番神業に近い能力の持ち主ということになる。彼の場合で、1,000回打席に出て367回見えないはずのボールを打ってヒットにしたのだ。それでも633回は空振りか、打っても相手チームのグラブに捕まっている。ヒットを打つのはこれほど難しいことなのだ。
 
3,000-hit clubで最も通算平均打率の低い人でも0.276、この選手はCal Ripken Jr.2001年引退時の記録は3,184本、歴代14位、3,000本達成は2000年)、彼は3,184本のヒットを打つために合計11,525回打席に出たことになる。イチローの平均打率は0.3143,000-hit clubメンバー30人の中で第13位に位置する。株を当てるプロ、為替を当てるプロなど世の中にはいろんなプロがいるが、目にもとまらぬ速さで投げられたボールが、どの方向に曲がるか、3割の確率で予測して打ち返すプロになるには、どんな才能が必要で、どんな訓練が必要なのか、引退後のイチロー選手を最先端のコンピューターで分析して、その謎を解き明かしてもらいたいものだ。
 
今回のイチローの偉業に対して、米国の野球解説者が統計を基に次のようなことを言っていた。通常、メジャーリーグで怪我もせず1年間出ると、打席に立つ回数はせいぜい600700回、平均打率3割目標に180-200本のヒットを打つのが目標で、これを16年以上にわたって継続しなければ3,000本に至らず、まずはとても達成できない数字のはずだ。これほど打つ選手は通常810年で引退する。3,000-hit clubメンバー30人の中で、ヒット3,000本の記録を16年の最短で実現したのはPete Rose1986年引退時の記録は4,256本、歴代1位)とイチローの二人だけ。他は17年から27年かけて3,000本安打を打っている。しかもイチローは、Pete Roseの通算平均打率0.303を上回る0.314だから、打者としてはPete Roseより神に近い存在だ。日本のプロ野球でのヒット記録1,278本を通算するとNo. 1Pete Roseのヒット数4,256本を超して、文字通り国際的に世界一の記録保持者となる。この記録を27才で始めたイチロー3,000-hit clubの中では、最高齢で記録を作り始めた男だ。それまではWade Boggs1999年引退時3,010本、歴代27位)の23才が最高齢。現在、自称42才のイチローが、アメリカで「年齢詐称疑惑」と騒がれる所以だ。彼は50才まで現役でヒットを打ち続けるのだろう。