アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

Vietnam人技能実習生という奴隷

 我が国は、外国人の就労目的入国に学歴条件を課す。基本的に大学を卒業した「高学歴者」でなければ、我が国に就労目的で入国できない。料理人など特殊な技能の持ち主とか日系人などの例外を除いて、基本的に単純労働者の入国を認めない。
 
しかし、業種によっては人手不足が深刻で、最低賃金程度で採用できる日本人労働者が見つからない現実がある。そこで、政府は「技能実習」という在留資格を創設し、アジア各国の若者を単純労働者として期間限定で受け入れしている。低賃金でも働きたいから来日を希望する外国人が我が国に住み着くと弊害もあるので、現在最長3年、これを近々5年に延ばす予定だが、更新不可能、その後は帰国しなければならない。
 
アジアの国には、日本の最低賃金が高級管理職の給料に匹敵する国もある。技能実習制度は,我が国で開発され培われた技能・技術・知識の開発途上国等への移転を図り,それらの国の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的とするという美名のもと、実質的には外国人単純労働者(大卒資格を持たない者)を低賃金で酷使するための方便として利用されている。昨年末時点で我が国には約19万人の技能実習生がいて、圧倒的に多い出身国は中国89,000人(46%)とVietnam 57,600人(30%)、この二カ国で76%を占める。次に多いのはPhilippines, Indonesiaなど。
 
先日、Vietnamから来日したばかりの技能実習生に入管法令に関する講義をする機会があった。彼らは日本で働く前に、日本の労働法に関する講義、入管法に関する講義をそれぞれ4時間づつ受ける義務がある。平均100万円前後の渡航前費用を現地の政府の認可を受けた仲介業者(送り出し機関)に払ってきており、日本に出稼ぎに来るにはこの大金を調達しなければならない。地域によるが労働者一人の賃金が5,000円~15,000円の国で、この金額をためることは不可能だ。田舎の親が耕作している農地の「土地使用権」(Vietnam社会主義国なので所有権ではない)を担保に銀行から借り入れ、不足分は、親戚縁者の貯金を借りまくって工面しているらしい。
 
名ばかりの技能実習生は、製造業、縫製業、農業、建設業など人手不足の職種につくが、3年間でまず借金を返済しなければならない。それには1年から1年半かかるという。その後、実質的仕送りができるが、1年半から2年で本国に送金できる金額はせいぜい100万円、心無い雇用主の下で奴隷同然の働きをして、悪い日本の印象をみやげに帰国する者が40%に上る。技能実習生には雇用主を選ぶ権利も就労先を変わる権利もない。法外な借金に縛られているため、最低賃金以下でも、残業代なしでも、長時間労働でも虐待でも受け入れなければならない。たこ部屋から逃亡して捕まると「退去強制」(入管法24条)となり、借金残高が一生の重荷になる。技能実習という名の奴隷から搾取して、社長(雇用主)は派手な生活をしているという話もきいた。労働力不足の現実から目をそらさず、そろそろ技能実習制度を変える時期に来ているのではないか。