アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

卵の値段と動物愛護

日本の卵の値段は他国に比べて安い。それは動物を虐待しているからなのであって、我が国には動物愛護法という法律があるにもかかわらず、主にペットを前提に作られた法律なので、ケージに押し込めて卵を産ませている鶏は想定外という事情がある。しかし、世界の動静は、いくら鶏と言えども、命ある動物には変わりなく、人間の勝手で動物の生殺与奪をほしいままにしてよいということにはならない。
 

EUでは既にバタリーケージ(battery cage)と呼ばれる金網の鳥籠で鶏を飼育することは禁止された。米国も州ごとに法制化されるがbattery cage飼育を禁じている州が結構ある。それらの州ではenrichedcageといって床を金網にしない金網のかごで、しかも一羽当たりの面積が2倍ほど広い鳥籠での飼育に切り替えている。

 
それでも、欧州の動物愛護先進国では、一切の鳥籠飼育を違法とし、平飼いのみを合法にしているスイスなどの国もある。大手食品チェーン、ホテルチェーン、スーパーなどにも、鳥籠なし(cage free)で飼育している鶏の卵しか使わないと宣言しているところが結構出てきた。どうやらこれが世界の趨勢らしい。日本も国際社会の一員としてこの条件を受け入れて作られた卵しか売れない時代が数年以内にやってくる。Intercontinental Hotel chainは既にこの条件を受け入れているから、日本の同じホテルチェーンは、既に本部の方針に従っているはずだ。
 
Battery cageのどこが悪いのか。鶏は、元々太陽の光を浴び、地面を歩き走り羽根を目いっぱい伸ばし、砂浴びをし、自分でエサを採取して食べ、毛づくろいをし、一番安心できる場所で卵を産むのが自然なのだ。ところが、battery cageには太陽の光が当たらず、地面は金網、羽根を広げるスペースはなく、砂などはなく、用意された餌を詰め込むだけ。鶏の本能、欲求、習性、尊厳、すべてを奪う場所battery cageがなのだ。
 
一羽の鶏は、普通、年間20個ほど卵を産むものだが、品種改良などにより1年間で300個ほど産ませられる。寿命は10年といわれるが、の時期120日を過ぎて卵を産み始めるので、12年で生涯産むべき卵を産んでしまうから、それ以上産めなくなり、経済効率が悪いという理由で早々と処分されてしまう。
 
このような過酷な環境で卵を生産させられる鶏は、ほっておけば命がもたないので、短い生涯に25種類ほどのワクチンが打たれる。抗生物質、合成抗菌剤なども飼料添加物として投与される。これらの薬がなければ生き残れないからだ。要するに安い卵は不自然に生まれた卵なのだ。