アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

喫煙者を排除する企業増加傾向

プログラミングの教育事業を手がけるIT企業“div”の社長が、今年4月、喫煙者は一切採用しないと発言してから、星野リゾート喫煙者は採用しないと発表するなど、新規採用から喫煙者を排除する企業が続出している。既にいる社員については、喫煙を理由に解雇しにくいが、入社の条件を企業が提示するのは、企業に採用の自由が保障されているため自由だ。不合理な差別にはならないし、喫煙者不採用を禁じる法令もない。(年齢・性別による差別、障碍者労働組合差別などは法律で禁止されている)
 
企業の喫煙者不採用理由は明らかだ。“div”の理由は、健康のリスク、生産性の低下、周囲への悪影響の面で、会社にとって良いことが何もないから。星野リゾートの理由は、作業効率(喫煙者は血液中のニコチン含有量が減少すると集中力を維持できない)、施設効率(喫煙者社員のために喫煙場所を確保するのはスペースの無駄遣い)、職場環境(喫煙習慣のある社員だけより頻繁に休憩が認められるのは不平等)を考慮したという。これは、企業競争力に直結する課題でもある。
 
新規採用に限らず、全従業員の「卒煙」を目標に公表した企業もある。大阪のロート製薬は、東京五輪2020年までに、全従業員の「卒煙」を経営目標とした。目標達成後は、もちろん喫煙者採用はしない。昨年の職場禁煙施策調査では、22.1%の企業が全面禁煙をしており、特に顧客と対面する不動産、金融、サービス業などでは30%超が全面禁煙の職場となっている。この傾向が進めば、やがて喫煙者は国会にしか居場所がなくなるかもしれない。我が国で喫煙場所を確保するのが国会議員の主な仕事になるだろう。
 
厚生労働省の発表では、タバコ害による我が国の年間総損失は2500億円(2015年度)という。内訳は、喫煙者の医療費12600億円、歯の治療費1000億円、受動喫煙が原因の医療費3300億円と医療費で合計1兆6900億円。他に介護費用2620億円と火災による損失980億円となっている。喫煙人口は、成人(1500万人)の17.7%と推計されているので、約1,800万人くらいかと思われるが、東京五輪を機に、職場の喫煙は全面的に禁止すべきだ。たばこの煙には発癌性物質が70種類も含まれているというから、百害あって一利なしとはこのことだ。企業も従業員にタバコをやめさせようと、非喫煙者手当を支給したり、禁煙治療費を支給したりする補助制度を取り入れているところもある。
 
昨年の世界保健機関WHO)の報告では、世界規模でタバコを原因とする健康被害による医療費の損害は年間1兆㌦(約110兆円)を超えるとのこと。タバコ害による経済損失を医療費だけでみた数値だが、この中には年間600万人の死者の経済損失は算入されていない。喫煙者200人に対して1人の割合で、毎年タバコが原因で死亡している計算になるが、喫煙人口の多い中国・インドなどは、許容範囲(0.5%)として放置しているようだ。我が国は、喫煙者を採用しない企業を増やし、同時にタバコへの課税強化(11000円目標)を実現しなければ、益々人口は減り、医療費だけが増える最悪の将来を迎えることになるだろう。