アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

外国人労働者輸入問題

外国人労働者を「特定技能」という新しい在留資格で今後5年間、3035万人輸入する新入管法が成立した。100年前、我が国の炭鉱で深刻な労働者不足問題が発生し、政府は財閥の要求を受け入れて朝鮮半島から多数の労働者を輸入した。低賃金で長時間労働する外国人労働者が増えた結果、日本人労働者の賃金も低下し、資本家は大いに潤ったが、一般の労働者の生活は苦しくなったというのは、小林多喜二蟹工船などから理解することができる。
 
現在、日本には130万人以上の外国人労働者がいるが、日系人など日系3世までの定住者・永住者が一番多く、全体の1/3を占めている。しかし、我が国はこれらの外国人を受け入れる社会インフラを整えておらず、市役所での言葉の問題から、彼らの家族の問題など対応できていない。子供が学校に行こうにも、学校でポルトガル語が分かる教師がいないなど、受入準備ができていないのだ。
 
外国人労働者の約20%に相当する26万人は技能実習生の名目で働いている。この技能実習生は、学生の延長かと勘違いする呼称だが、実態は低賃金出稼ぎ労働者だ。ベトナムから来ている約105千人の技能実習生のほとんどは、現地で日本での出稼ぎ労働を斡旋する業者(送り出し機関)に、平均100万円ほどの手数料を払って来日している若者たちだ。現地で月給1万円もない若者が、100万円ほどの貯金を持っているはずもないから、親せき縁者から借金して来日する。1年働いて100万円の借金を返済できる者は少なく、平均1年半かかる場合が多いらしい。3年間日本で働いて、最後の1年半で100万円貯めて帰国するのが標準コースだ。
 
ところが、業者が斡旋する日本の雇用先はまともなところもあるが、悪徳雇用主も多数あり、我慢できなくなって失踪する技能実習生が後を絶たない。今年前半だけで失踪者4,000人以上だから、年間8,000人以上の若者が、職場環境に耐えられず行方不明になっている。(彼らは自由に雇用先を変えることは法令で許されていない)国会の議論の中で、昨年までの3年間で技能実習生の死亡事件は69件との統計も発表された。自殺及び自殺と推察される事件は9件、作業中の死亡事故(就寝中の死亡事故も含む)は17件、その他、凍死などもあるから、冬場の暖房のない環境で生活していた者までいたと推測される。自殺しなければならないほど悲観する外国人労働者がいるという実態を軽く見るべきではない。
 
政府は、現在の技能実習生制度には悪質ブローカーが暗躍していることは認めており、新たに作る「特定技能」については、今回の入管法改正で、悪質ブローカー(仲介業者)が介在して保証金などをを払った場合、特定技能外国人としての受入は認めないというが、立証の方法はない。保証金と言わず名目を変えれば実質的に今と同じことができる。100年前朝鮮半島から受け入れた外国人労働者28年前(1990年)入管法改正で受け入れた日系人労働者(主に南米)、今回アジア諸国から受け入れる予定の特定技能外国人労働者、彼らは労働者である前に人間であることを忘れてはならない。我が国で人間として平等に暮らせるように、まず環境を整備する必要がある。