アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

魚を食べれば頭がよくなる?

先日岸和田で「脳科学と食育」という講演会を聴かせてもらった。講演者は脳育成学(Brain Nurturology)の第一人者を称する大学教授澤口俊之(サワグチトシユキ)。魚は低カロリー、高タンパク(肉は高カロリー、高タンパク)なので肥満防止になるだけでなく、DHA(ドコサヘキサエン酸), EPA(エイコサペンタエン酸), Vitamin Dというオメガ3脂肪酸が豊富に含まれていて、大脳の前頭前野に血液を送り、高齢者は認知症になりにくくなるという。前頭前野は大脳の司令官のようなものなので、ここが機能しなくなるとボケるから、魚を食べると、ボケ防止になるだけでなく、知能は向上するし、攻撃性も低下する(キレなくなる)、ストレスも軽減するという。

アメリカで行なった実験だそうだが、一切魚を食べないグループ数百名と、週に一回以上魚を食べるグループ数百名を長年にわたって観察した結果、魚を食べたグループの方が認知症になりにくく、死亡率も低かったとのこと。これもまたアメリカで行った別の実験だが、400名の妊婦のうち、魚を食べて半年以上母乳で育てた子どもと、魚を食べずに母乳を短期間で中止して粉ミルクで育てた子供を比較すると、7-8才の子供では、魚なし・粉ミルク組に自閉症の子が多かったという。そして、この違いは、オメガ3脂肪酸によるものだと推測している。

うつ病発達障害の一種であるADHD(注意欠陥多動性障害)の薬Ritalinも、成分は魚から抽出するDHA, EPA等から作るのだそうだ。要するに魚を食べると頭がよくなるというのは一切根拠がないとは言い切れないということが分かった。

どこかできいたことがあるが、魚に限らず「まごわやさしい」はすべて健康によく、従って大脳の司令官たる前頭前野の働きも活性化するのだろう。
「ま」(豆) 「ご」(ごま)「わ」(わかめ)「や」(野菜)「さ」(魚)「し」(椎茸)「い」(イモ)
納豆のみならず、コーヒーもチョコレートも、前頭前野の活性化にあっては、豆(コーヒー豆、カカオ豆)の範疇に入るそうで、豆に含まれるレシチン(lecithin)が、脳内でアセチルコリン(acetylcholine)に変化するからいい結果を生み出すようだ。脳内のアセチルコリンの減少はアルツハイマー病と関係があることが知られているので、豆を食べるとアルツハイマー病になりにくいと言えるのかもしれない。

しかし、講演会の最後に、参加者からタバコは有害かと質問され、この脳育成学者は「脳に一切悪影響を与えない」と答えていたが、2012年11月発表されたKing’s College Londonの科学者調査報告(50才以上の8,800人対象)によれば、4年後、8年後の調査で、記憶力については、非喫煙者に比べて喫煙者の記憶力は格段に減少したと証明されている。脳育成学者のタバコに関する発言は、明らかに間違っていると思うが、魚を食べ続ける人にとっては、タバコは脳に悪影響を与えないとでもいうのだろうか。魚と脳の話もどこまで信じていいのか疑ってしまう。