アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

カジノ法成立

先月、ついに国会でカジノ法(統合リゾート推進法)が成立した。合法的賭博を認めることで、富裕層のお金を使わせることができ、結果的に雇用創出、国内外の観光客増加につながり、カジノ収益から国の税収も増えて大賛成という意見が多数決で通ったのだ。確かに、リゾート関連施設の建設とか関連のインフラ整備など建設業界も潤うだろう。しかし、慎重派(反対派)は、ただでさえ我が国に多いギャンブル依存症者を増やすだけで、彼ら自身にとって更に有害なだけでなく、国にとってもギャンブル依存症者対策にもっと多くの費用が発生すると警告する。
 
 確かに、賭博は余暇を過ごすための娯楽の一種でもある。そのためほんの一部の国を除いてカジノは存在する。世界120カ国でカジノは合法だ。アジアでカジノ禁止の国はタイ・中国・日本くらいだというが、中国人はマカオのカジノ客の75%といわれ、実質的に自国でカジノに興じている。日本はカジノこそないがパチンコという賭博場が全国津々浦々に12,000カ所ある国なので、実質的賭博先進国だ。とすると、アジアで合法カジノがない国はタイくらいとなる。
 
 カジノ慎重派が最も心配するのが病的ギャンブル依存症者の増加だ。厚労省の推計では、我が国に既に約500万人のギャンブル依存症の人口がある。成年男子の8.7%、成年女子の1.6%という。アルコール依存症80万人、薬物依存症者10万人に比べて圧倒的に多い。これは、ひとえに、パチンコという賭博が蔓延しているからだ。カジノ解禁として、ギャンブル依存症者がどれほど増えるか予想しにくいが、減ることはないだろう。カジノで遊ぶための金を求めて詐欺・横領・恐喝・窃盗・強盗・殺人・放火などの犯罪が増えると心配する者もいる。一方で、多重債務・自己破産・家庭崩壊(家庭内暴力、子育て放棄、離婚、ホームレス)等の社会問題も増える。これらの被害者は500万人のギャンブル依存症者の何倍にもなる。百害あって一利なしというものだ。
 
 一部の富裕層だけが余裕資金で多額の金を賭けて楽しむなら問題はない。一般の人でも、節度を持って遊ぶだけなら害はないだろう。カジノ法が施行されて実際に統合型リゾート施設ができ、その中にカジノができるといっても、日本全国で数件にとどまるだろうから、病的ギャンブル依存症者がこぞってカジノに行くとも限らない。いっそのこと、カジノ合法化を機に、パチンコの賭博性を認め、パチンコも統合型リゾート施設内でのみ合法とするのが正しいのではないか。
 
 パチンコ業界の規模は2005年で348620億円(貸玉料額)と巨額である。2014年でも245000億円というから、カジノもパチンコも合法ギャンブルとして正当に課税するべきだ。税収が増えれば、国も病的ギャンブル依存症者対策費を捻出することができるようになる。現在の私営パチンコは脱税こそしていても直接納税はせず、北朝鮮に送金されたり、闇の世界の資金源になったりして、国のためになっていない。
 
 パチンコ業界と警察OBとの汚い関係は以前から指摘されている通りで、なかなかパチンコを合法ギャンブルと認めさせるのは難しいようだが、いつまでもパチンコを遊戯という日本の娯楽文化の一部であると主張するのは、大いに無理があると思う。