アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

アメリカの友人のつぶやき

バルセローナ大学の夏期講習で知り合ったアメリカ人の友人がいる。もともと学校の歴史の先生をしていたが、ある時、「教師の職にしかつけない男」と友達にバカにされたのを機会に私企業に転向、Timesという雑誌社で宣伝広告の仕事に転じ、その後独立して自分の公告会社を立ち上げ、定年になってから、夫婦でスペインValenciaに移住して年金生活をしている。国籍はアメリカだが、スペインで骨を埋めるつもりのようだ。スペインのほうが物価が安く各種の税金も安いので暮らしやすいとのこと。しかも気候は温暖で年寄りには理想的だ。
 
彼らはトランプが嫌になって米国を離れたのではないが、トランプが選挙に勝ってから、この友人のように米国を離れて国籍まで変えるアメリカ人が増えているという。英語の通じるカナダが行先として多いらしい。この夫婦も典型的なトランプ嫌いのアメリカ人で、外からアメリカを見て、アメリカの将来を憂慮している。
 
トランプはバカで嘘つきで最低の男だが、だからと言って、この男を次期大統領の座から引きづり下したからと言って問題が解決するものではない。真の問題は、こんな男を次期大統領にふさわしいと判断する有権者が人口の半分近くいるという現実だという。やはり、重要なのは教育で、大学の授業料が高すぎて、教育が必要な若者に届かないのが問題のようだ。奨学金を借りることはできるが、高額の借金を作った後、本当に返済できる収入が得られるか先を見通せないので、進学をあきらめる若者が多いという。
 
日本もアメリカの後追いなので、大学の授業料は50年前に比べて50倍ほどになって、経済的に余裕のない家庭の子は進学できず、これではよくないと、ようやく来年くらいから、給付型奨学金を政府は検討始めたところだ。
 
トランプがバカで脳なしであることは長い選挙戦ですっかり暴露されたところだが、脳を持たないクラゲが6億5千万年も生き延びていることから、トランプ程度の人間でも平均寿命まで生きることはできるだろう。アメリカ大統領と言えども全能の神と違って万能ではないから、議会がトランプ暴走にブレーキをかけることもできるし、閣僚の中にはまともな政治家も何人か混じっているだろうから、米国は彼が大統領を務める4年間は持つかもしれない。
 
しかし、二度とこんな男を大統領に選ぶことがないように、教育に力を入れるべきだと友人は言う。50年前、ユダヤ人である自分たちの親も経済的余裕はなかったけれど、奨学金で大学に行ける時代だった。今や経済的理由で大学に行けないアメリカの若者が沢山いる。格差が固定して、抜け出すことができない世代はいつまでたっても下層階級のままだ。政治家は以前の中流であふれる国を作るべきところ、超富裕層のトランプが格差社会を是正するような政策をとるはずがない。皮肉なことに下層階級がトランプの出現を手助けしたのだから、米国は救いようがないのだそうだ。