アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

超大国を目指す中国

超大国を目指す中国は大量の留学生を米国に出して勉強させ、そのソフトパワーで世界の技術をリードし驚異の経済成長を成し遂げている。過去40年間で、中国から400万人の学生が欧米を中心とした海外に留学、彼らが帰国して中国の国家建設に貢献している。今や科学者の人数は、中国が162万人と、第二位のアメリカ(138万人)を抜いて世界一位だ。(日本は66万人)過去30年間で日本はGDP1.6倍に伸びたが、中国は30年間で30倍以上に伸ばし、日本を抜いて世界第二位の経済大国になった。WTO(世界貿易機構)加盟で中国の製造業が飛躍的に伸びたのだが、WTO加盟を認めた西側資本主義諸国は、経済が発展すればいずれ中国も共産主義体制から離れるだろうEngagement Policy = 関与政策)と楽観的に考えていたのが間違いだった。
 
昨年12月、カナダ司法省は、中国の通信機器大手華為技術Huawei Technologies Co. Ltd.)の副社長CFO最高財務責任者)を逮捕した。この女性は、1,000カナダドル(約85000万円)の保釈金を支払って仮釈放されたが、足首にGPSブレスレット(GPSで行動を監視する装置)を付けられた状態で監視されている。米国司法省は、身柄の引き渡しをカナダに要請しており、いずれ正式に米国に引き渡されるだろう。米NY州裁判所は昨年8月の時点でこの女の逮捕令状を出しており、米国でHua Weiの犯罪が立証されることになる。
 
Hua Weiの技術は中国などのサイバー攻撃に使われている(らしい)。もともとHua Wei自体も中国軍の高官が創業した企業(カナダで逮捕された女は創業者の娘)で、一応私企業だが、共産圏の私企業と言えども国営企業と同様、国の方針に従わなければならない。中国には国家情報法という法律があり、民間企業も個人も政府の命じる情報収集活動に協力しなければならないのだ。Hua WeiとかZTEなどの中国通信大手はback door(裏口と呼ばれる、遠隔操作で情報を盗み取る隠された入口)を仕掛けたソフトを使ってサイバー攻撃をしており、Hua Wei製品を使わせればすべての情報は中国当局に筒抜けになる。
 
その昔、スパイと言えば米ロが主力だったが、今やサイバー攻撃で中国や中国の技術を使った北朝鮮などがインターネット上でスパイ行為をしているのだ。ロシアもKaspersky Labカスペルスキー)という企業を使って米国の情報スパイ工作に深く関与しているとも言われているが。第二次大戦後、米国は軍事力・ソフトパワー両面で世界を支配した。中国は国家建設百年になる2049年を目標に軍事力・情報の両分野で世界を支配しようとしている。
 
Hua Weiの技術が携帯電話第五世代(5G)の基幹ソフトとして全世界で使われれば、中国による世界支配の第一歩は確実に進む。自動運転時代になって世界中のコンピューターの基幹部分にHua Weiの技術が入り込めば、中国が敵視する人物が乗った自動車を故意に事故に至らせ、この世から消すこともできるようになるだろう。Hua Wei使用を禁止する米国とその息のかからない地域に売り込む中国の戦いが始まっている。日本もHua Weiを排除している。覇権国家を目指す中国がどれほど広範囲にHua Weiを張り巡らすことができるか、中国の運命がかかっている。