高校生の時に1年間ホームステイした時のhost brotherが先週初めて来日した。47年前、別れてから米国で二度ほど会ったことがあるが、最後に会ったのは22年前。現在64才の夫婦の3人の子供は、皆家を出て独立、今は4寝室の家に自分たち夫婦だけが住んでいる、いつかもう少し小さい家に引っ越しを考えているとのこと。Host brotherは42年間学校で体育の教師をして、退職、一大決心をして日本に旅行に来たそうだ。水泳のコーチをしていたから、夏休みでも学校に行かなければならず、旅行の時間が取れなかったという。
1週間で京都、奈良、大阪、岸和田を案内、琵琶湖のMichigan dinner cruiseも体験した。奈良の友達の家ではお茶会を体験、ついでにお琴の演奏もきかせてもらった。映画Memoir of A Geisha(邦題「さゆり」)の中に出てくる千本鳥居(外国人観光客の人気No.1 spot)も散歩して大満足。
夜の街を女性が独り歩きしているのを見て日本は安全な国だと感激し、街の中にごみが落ちていないのでびっくりし、ホテル・空港・街の中が清潔できれいなのも驚いていた。米国北部
Michigan州から来ているから、家のトイレの便座が温かいのをえらく気に入っていた。47年前は、僕が学校に行くのも散髪に行くのもすべて彼に教えてもらっていた。今回は僕がhost brotherとして、箸の使い方から挨拶の仕方、お礼の言い方を教える番だった。それにしても、土足の文化から来ている人に、玄関で靴を脱いだ後、その場で裸足で立ってはいけないと教えるのは不可能だった。そういうことになるだろうと予想していたので、事前に玄関の上り口付近だけ雑巾がけしておいたが、お構いなしに裸足で玄関の外まで飛び出してしまう。その足で家の中に入ってくるものだから、家の中が汚れて仕方がない。相手が留学で来ている高校生なら、玄関では素足で立つなと注意もできるが、いくらhost brotherの仲でもそこまできつく言えず、しかも奥さんには遠慮もあるので、注意もできない。結局、彼らが見ていない時に、静かに家の中の雑巾がけをするしかない。友達の家に連れて行っても、同じように玄関で靴を脱いで、その場で素足で立ち、一度足の裏を汚してから家の中に入ってくるから、家中を汚してくれる。日本では、散歩に出た犬でさえ、家の中に入ってくる時は4本の足の裏を雑巾で拭いてもらうまで、家に入らないと説明しても、冗談としか思ってもらえない。
Host brotherは教育界にいたから、僕らが、昔、通っていた高校のあったDetroitの教育事情を話してくれた。全米の高校中退率は7-8%位だが、Detroitに関してはそれは平均35%、学校によっては中退率78%の公立高校もあり、それはひどいものだという。彼が42年間務めたMichigan州Troy市の中退率平均は1%という。Detroitの人口の90%近くが黒人、Troyにはほとんど黒人が住んでいないのが主な原因だという。全米で発生する犯罪の75%は高校中退者によって引き起こされる。教育をしっかりして、卒業までもっていくことが教師の最大の使命だが、親が高校中退者である家庭の子供が同じ道を辿るのを、教師がいくら努力しても限度があると、半ば諦めの境地のようだった。どこの国でも学校の先生は苦労しているのだと感じさせられたものだ。