アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

国民投票で民意を問う世紀の愚行

英国がEUから出ることになった。EUに残るか出るかのとんでもない重要な判断を、投票率72.2%、得票率48.1%51.9%の僅差で決めるというのだから、Cameron政権の思慮浅さによる愚行としか言いようがない。1973年以来のEUの一員であり続けたい国民が半数くらいはいるのに、単純多数決でこのような大事なことを簡単に変更されては、国民にとって災い以外の何物でもない。
 
もともと、離脱派の主張は嘘・矛盾だらけだった。大々的に宣伝した「毎週£3.5億≒525億円」(国民投票後の£下落で約470億円)のEU拠出金が、離脱後はNHS(国民医療サービス)に使えますというのが、間違いだったと離脱派Boris Johnsonなどが国民投票後すぐに認めたから、早い話が、間違った情報を基に国民は投票したことになる。
 
こんな単純な間違った数字を鵜呑みにして投票した有権者も程度が低すぎる。すぐにばれて訂正しなければならない数字を使って国民投票を進めていた離脱派政治家もお粗末な話だ。投票結果が出る前は、残留派政治家は間違っても離脱多数にはならないと高をくくっていたし、残留派政治家も、まさか多数をとれるとは思っていなかった。僅差で予想外に離脱となり、離脱派トップのBoris Johnsonは、Cameron後任の首相に立候補しないと発表した。
 

英国のEU離脱が決まったことで、早速、英国から離脱する地域が国民投票を予定している。以前から独立したがっていたScotland(人口525万)は国民投票の準備を具体的に始めた。北Ireland(人口180万)はEU加盟国であるIrelandと合併するだろう。既に、英国籍を捨ててEU市民であるIreland国籍に移す国民が続々と出ている。本人がIreland生まれ、又は親・祖父母のどこかの段階でIreland国籍の先祖がいればpassportをもらえる。Wales(人口305万)もEU市民権がなくなるなら独立すると言っている。首都London(人口855万)は、今回の国民投票では6割の市民が残留に投票した。英国が本当にEUから離脱するなら、首都Londonは英国から離脱してEUに加盟するとSadiqKhan市長は発言している。

 
英国の人口は6,400万、Scotland、北IrelandWalesLondonが抜けたら、将来の英国はEnglandだけとなり、人口4,500万の国になる。ほぼスペインの規模だ。これを大英帝国の崩壊と言うのだろう。既に米国大手銀行は英国から数千人単位の行員を他のEU国に移すと発表しており、英国の銀行HSBCですら1,000人はParisに移動させると発表した。英国が欧州の金融センターでなくなるからだ。英国は現在でもEUに加盟していながら通貨ユーロを採用していない。しかし、EUの大口加盟国だからうまいこと交渉してLondonを€取引の拠点にした経緯がある。EUから離脱すればもちろん€取引の拠点は他国に移る。
 
日本企業にとっても英国はEU進出の足掛かりとして機能してきた。英語が通じるのが最大の利点かもしれない。EUでなくなればそんなことを言っている場合ではない。Englandという田舎国にはもう魅力はなくなるのだ。英国人も 離脱を後悔している。BREGRETと言うのだそうだ。