アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

Bangladeshのテロ事件

7月1日夜、Bangladeshの首都Dhakaで発生したテロ事件で22人が犠牲になった。犯人は6人、翌朝突入した警察に射殺された5人と捕まった1人、全員Bangladesh 人、18-22才の若者だった。ほかに「人質」と思われていた数人が犯人たちの協力者の疑いをかけられている。犠牲者の中にイタリア人9人と日本人7人がいた。イタリア人は繊維関係者とのことで、僕もスペイン駐在の頃、イタリアとの合弁でBangladeshでシャツを作っていたから、Bangladeshに長期出張していたイタリア人技術者の話をよく聞いていたので、現地での生活がいかに大変か想像できる。
 
とにかく生活が大変なうえに、ラマダンの時期ときたら、現地の人は、日中は飲み物も食べ物も口にしないから、そんな制約のない外国人でも、日中、正々堂々とじっくり時間かけて食べるわけにいかず、おのずと日没後の夕食が一番心安らぐ食事となる。Bangladeshでおいしいパンやピッツァが食べられるカフェとなれば、少々高くても行きたくなるだろう。そんな中で今回の事件に遭遇した9人のイタリア人犠牲者の遺体が今日ローマに着いたと報道された。
 
そして、7人の犠牲者が出た日本人は、全員JICAの事業で出張していた技術者だという。発展途上国のために、環境の厳しい国で力になってあげようという崇高な理想の持ち主が犠牲になるなんて、商売で赴任していたイタリア人より、もっと理不尽と言わなければならない。犯人はIS傘下のJMBというテログループに所属していたようだ。5人はもともと警察が目を付けていた危険人物だが、半年前から家族にも行方不明となっていたという。実行犯以外に、JMB幹部6名が今回のDhakaカフェ襲撃事件を指示・主導したとして警察が行方を追っている。
 
この事件が終わるや否や、今日またBangladeshでテロ事件が発生した。Dhakaから100kmも離れていない都市で4人死亡、負傷者も数名出ている。これらテロ事件の犯人は、高学歴で、結構恵まれた経済環境にある若者だが、自分たちの努力でどうにもならない経済格差(先進国とBangladeshのような発展途上国との経済格差)に失望して、ISのように既存秩序を全否定、世界は自分たち若者が作り直さなければならないという極端な思想に傾いてしまった者たちだ。
 
人口1.7億のBangladesh国内にも当然経済格差はあり、若者の失業率は高い。ごく一部の富裕層と大多数の貧困層の経済格差がある中で、今回の犯人の所属する「上流~中流」層の若者ですら、このような過激思想に染まるという事実は、彼らが社会に強烈な不満を持っていて、死んでもこの世を変えたいと思っている証だ。Dhakaのカフェに警察が突入してきた時、彼らは人質に「自分たちは彼らのようになる」と、自分たちが殺した外国人の遺体を指して言ったという。実行犯は自爆したのではないが、自らの死を覚悟して犯行に及んだのだ。鬼畜米英を粉砕すべく敵艦に体当たりした我が国の特攻隊と同じ覚悟だったのだ。彼らの粉砕の対象は、非イスラム教徒の外国人、頭の中では「外国人=富裕層」となっていたのだろう。ISに同調するイスラム系若者の根底に、どうにもならない経済格差があることは間違いないと思う。