アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

Barcelona Ramblaでテロ

 Ramblaといえば広い歩行者専用道路で、両側に花屋、本屋、小鳥屋、土産物屋などが立ち並び、訪れる世界中の観光客から地元のスペイン人までの憩いの場だ。カタルニア広場から港までの2kmくらいの歩道ではないかと思うが、典型的なスペインの港町という印象の通りだ。この歩行者天国の道を、先週、Fordのヴァンで猛スピードで走り、13人即死,更に120-130人の負傷者を出した奴がいた。モロッコ国籍の22才の若者だ。今日のニュースで、男はBarcelona近郊で警察に発見され射殺されたとのこと。
 
男がテロ事件を起こした17日、Ramblaの大きな市場を通って裏道に出て、Diagonalという大通りに出たところで、車に乗っている見知らぬ男性(34才)を殺してその車を奪い逃走したが、死体を乗せた車は、Barcelona市内から3kmの近郊の町に放置されているのが発見された。警察は、男がその後フランスの方に逃走したのではないかと疑っていたが、指名手配されていた写真に似た男がいると通報があり、今回の逮捕につながった。
 
 事件はISに共感するアラブ系の十数名の若者により企てられ、全員が今までに射殺又は逮捕されている。これらの若者を扇動したイスラム教指導者(45才)が陰の主役だが、彼は事件の前日、作っていた巨大爆弾が間違って炸裂し、死亡した。その爆弾製造が成功していたら、もっと多くの犠牲者を出す事件を起こしていただろう。
 
 スペインは8世紀、アラブに征服され、15世紀にようやくアラブを追い出し、キリスト教国にした。アラブ人を追い出したついでに、モロッコのメリリャ(Melilla)という海岸の町を占領し、その後17世紀には、セウタ(Ceuta)という町も植民地にして、今日に至っている。1954年、モロッコは独立に際し、当然MelillaCeutaの領有権も主張したが、これらの町は歴史的にスペインのものだとして、スペインは手放さなかった。モロッコ国内に位置するこの2か所の飛び地は、モロッコの中のスペインだが、商品も人も割と自由に行き来できるようで、僕がBarcelonaで働いていた頃は、よくモロッコから密輸品が入ってきていた。両地点の距離は230kmほど、Melillaからフェリーでは6時間くらいでスペインに着く。
 
スペインの経済は、不動産バブルがはじけて失業率が高い。その中で若者の失業率は25%を超える。若者の中でもモロッコ人などアラブ系の者には一番最後に仕事が回ってくるから、まともに職業につけて収入を得ている者は数少ない。ここに目を付けたのがISで、我々はコーランの教えに従い自分たちの国を作るのだ、この聖なる戦いに参加すればこの世の天国が待っているぞと失業中の若者を説得する。
 
確かにアメリカで黒人が職業選択上差別されるように、スペインでもアラブ人は平等な扱いをされない。もともと人間は生まれた時から平等ではない。でも、生涯における幸福と不幸の量は大体同じという。不運を嘆きテロに走るより、真面目に努力して幸運を待つほうが賢明ではないか。