先週末パリで発生した同時多発テロはどうやらIS(Islamic State)の犯行のようだ。死者130人、負傷者350人というから、短時間とはいえ、その残忍さがうかがい知れる。もともと野蛮な思想のISはイスラムの名を語る資格などなく、イラク・シリアの支配地域でも恐怖政治で統治しており、異教徒・他宗派の者は家畜のような殺され方をされている。それもそのはず、ISの基礎を作った男は、イラクのSaddamHusseinの諜報担当だった元大佐ハジ バクル(Haji Bakr、2014年反体制派に殺害される)だ。Saddam Hussein亡き後、刑務所で暮らしていただけで、イスラム主義者でも何でもない、純粋なアラブやくざだ。
ロシアが空爆を始めると、早速ロシアの旅客機が撃ち落され、フランスが空爆を始めると今回の無差別テロが発生する。しかし、世界には、ISの反撃が恐ろしいから何もしないという選択肢はない。徹底的にあいつらをやっつけなければならない。ISがここまでのさばっている最大の原因を作ったのが、シリアの独裁者Assadだ。単に独裁者二世というだけでなく、統治能力がないうえに、敵対する自国民に平気で化学兵器を使う男だ。にもかかわらずこの男を利用しているのが中国・ロシア・イランなどの悪の枢軸国だ。それぞれの利害関係があり、Assadを応援しなければならない。
シリアでは、Assad政権側、反体制側(但しこれはまとまっていない)、IS側の3勢力が三つ巴で戦っている。プーチンはISをやっつけるためと言いつつ、Assadを援護射撃するため反体制勢力を攻撃している。米国など有志連合はAssadをつぶすため反体制勢力に肩入れしているのにだ。ある意味では米露の代理戦争が行われているようなもので、それが激しくなればなるほどISにとっては都合がよい。
ISがこれほど人を集めることができる理由に、世界の経済格差問題がある。世界の上位1%の富裕層が、全世界の富の50%を持つ(2015年予想)ということは、残り99%の人間が持つ富と1%が持つ富が等しいということだ。下位50%の者の持つ富は、最上位80人の持つ富に等しい。下位20-30%に属する若者は世界に有り余るほどいる。仕事もなく、この社会に満足しているはずもなく、彼らはISの甘いリクルートの言葉に乗るしかない。ISの戦闘員になれば給料ももらえる。似非イスラムの宗教っぽい思想教育もするから、ジハードで死んだら聖人になれると信じて自爆攻撃もいとわない。今回パリでテロを起こした実行犯も、失うものは何もなく、言われるままに死んで聖人になろうとしたのだろう。