アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

イスラム国と経済格差

イスラム国(Islamic State = IS)は、日本人ジャーナリストなど二人を人質に取り、2億ドルの身代金を日本政府に要求している。暴力団と変わらない存在だが、その規模は史上最大だろう。建前上、イスラム法に基づいた国家を建設すると主張するが、そのためには手段を選ばず、例え国家樹立の目的を達成したところで、イスラム法治国家ができる可能性はない。世界中のイスラム団体から非難されている、名ばかりの「イスラム」国だ。
 
この集団の前身はアルカイダ、現状に不満を持つ若者を金で釣って軍事訓練を施し、テロ集団に仕上げる。イラク・シリアなどの中近東はもともとオスマン帝国領土、ここが第一次世界大戦で負けて、戦勝国である英仏が中心になって、勝手に国境を定めた(1916年、Sykes-Picot協定)から、パレスチナ問題も起こるし、今回のイスラム国問題も起こる。イスラム国は現在のイラクとシリアにまたがる地域に樹立しようとしている。
 
口ではイスラム法に基づくイスラム国家を建設すると言っているが、実態は国際暴力団で、今までも、欧米の報道関係者など人質を捕まえては、斬首の画像を送り付けるなど、野蛮なことばかりしている。平和主義のオバマ大統領もほっておけないと空軍による空爆を既に1,600回以上行い、今までに6,000人ほどのイスラム国戦闘員を殺害したと発表している。もともと35万人しかいない戦闘員のうち、それほどの死者を出したらやっていけないと思いきや、次から次に志願してくる若者が後を絶たず、いくら殺されても戦力は落ちていないらしい。
 
イスラム国の戦闘員になる魅力は、住居、給料、妻をもらえることにある。自分たちが占領した地域から出て行った人たちの空き家に、拉致してきた少数民族の女性の妻をあてがい、給料は石油の輸出代金とか獲得した身代金などで賄う。本人が戦闘で死んだら次の戦闘員に住ます。世の中には、職も財産も失うものは何もないという若者が無数にいるので、志願者は後を絶たないのだそうだ。一方で、世界の大金持ち(billionaire、資産10億㌦≒1,150-1,200億円以上)の数は、過去5年で2倍に増えて、昨年は1,645人になった。しかも上位80人の資産合計($1.9兆)は、世界の人口の下位半分(35億人)の持つ資産と同額だから、経済格差がここまで開くと、破れかぶれの若者は、イスラム国の戦闘員に志願せざるを得ない。
 
昨年の全世界の富は$260兆、上位1%の人口が持つ富は$126兆、全体の48%を占める。5年前は44%だったが、来年は50%になること間違いない。1%の人間の持つ富が99%の人間の全財産より多い世界は、資本主義の破綻と言わざるを得ない。OXFAMという団体は、国連が世界中の億万長者(billionaire)に課税して、世の中の経済格差を是正すべきだと主張する。10億㌦を超える資産に対して1.5%の億万長者税を課税すると、対象となる1,645人から$830億(10兆円弱)集めることができる。これで世界のすべての子供たちを学校に行かせることができ、衛生状態も改善できるという。政治が経済格差是正に動かない限り、イスラム国を滅ぼす計画は砂上の楼閣、絵に描いた餅にしかなり得ない。